「総合評価の在り方」議論開始 品質向上、負担軽減を両立

中央
 国土交通省は4月21日に開いた学識者・業界団体との懇談会で、直轄土木工事における今後の総合評価落札方式の在り方に関する議論を開始した。現行の技術提案や施工能力評価が目的物の品質向上に寄与しているか、改めて確認するとともに、入札手続きが受発注者の過度な負担となっていないか検証。2005年の品確法施行以来、20年にわたって運用してきた総合評価の課題を明らかにし、より高い品質につなげる仕組みを考える。  21日の会議は議論の出発点として、24年度の直轄工事を対象に総合評価のタイプと技術評価点、入札価格の関係などを整理した。これによると、WTO政府調達協定の対象を除き、技術提案評価型S型と施工能力評価のいずれも「最高得点かつ最低価格」の応札者が落札する割合が大きかった。  どの総合評価のタイプでも低入札価格調査基準価格の直上の入札価格が多く、予定価格付近での入札はほぼなかった。国交省は「応札者が調査基準価格の推定に労力を割く状況となっている」と推定した。  入札時の技術評価点と完成後の工事成績の関係も分析。技術評価点が高いほど工事成績の低い層(77点未満)が少なく、技術評価が目的物の品質に一定程度、結びついている傾向が確認された。  ただ、技術提案評価型では、提案テーマと関連する評定項目の点数は必ずしも高くなかった。国交省は、受発注者へのアンケートなどを通じて提案内容と品質の関係を検証する方針を示した。  受注者からは、技術提案の作成に当たって現地確認など過大な労力を要しているとの声も寄せられた。発注者・応札者の双方に過度な負担が生じていないかを検証し、手続きの簡素化や省力化を検討する。例えば、技術者に関するデータを集約化し、手続き簡素化に生かすことなどが考えられるとした。  会議では、土木学会建設マネジメント委員会の石原康弘委員長が、過度にコストのかかる提案のような"技術ダンピング"への懸念を示した。  東洋大学の大森文彦名誉教授は、価格競争だけでなく品質に目を向けようとした総合評価の導入時の経緯を振り返り、「一定の成果は出てきている」とコメント。求める品質の在り方を明確化する必要性も指摘した。  国交省大臣官房技術調査課の柴田芳雄建設技術調整室長は、工事の完成時だけでなく、その後も長期にわたって機能を発揮する「耐久性」など、新たな品質評価の方向性を例示した。  座長の小澤一雅政策研究大学院大学特別教授は、インフラの初期投資と維持管理段階のコストのバランスが課題になっているとの認識を示した。契約先の選定方法だけでなく、仕様書や契約の在り方を含めた議論が求められているとした。