都水道局 土木遺産の駒沢給水所を改修へ

東京

配水棟の現況(提供:東京都水道局)

 東京都水道局は、1924(大正13)年に完成した駒沢給水所を歴史的建造物として保存することを目的に改修する。4月8日に開札した基本設計の希望制指名競争入札は不調に終わったため、事業者へのヒアリングなどを通して委託内容を見直し、再発注する見通しだ。2029年度までに改修を終えて、施設の一部を一般公開することを検討している。  駒沢給水所は世田谷区弦巻2ノ41ノ5に立地。東急田園都市線・桜新町駅の北東に位置し、渋谷区の前身となる豊多摩郡渋谷町の町営水道施設として運用していた。施設の老朽化に伴い1999年に給水所としての機能を停止し、現在は非常時用の応急給水槽として活用している。  都は駒沢給水所の歴史を次世代に引き継ぐため、施設の一部を一般公開することを検討している。2029年度の公開に向けて、鉄筋コンクリート造高さ22・7㍍の配水塔2基(1924年完成)と、配水塔の南側に位置する鉄筋コンクリート造高さ8・3㍍の配水ポンプ所(33年完成)を改修して完成当時の外観に近づける。この他、敷地内の見学通路などを整備する。  また、配水ポンプ所の応急給水槽は既存の給水所機能を応用していることから、都内の大規模公園などに設置している震災対策用応急給水槽と同等の機能への更新も予定している。  4月8日開札の基本設計の入札は予定価格を5283万円(税抜き)、最低制限価格を4240万円(同)に設定したものの、参加した7者が全者辞退した。工期は320日に設定していた。  駒沢給水所では2003年に記念碑や配水塔上部の照明を含めた構内の改修を実施。現在、2基の配水塔をつなぐ管理橋の耐震補強工事と改修工事(塗装塗り替え、付属施設取り換え)を進めている。工期は27年3月16日で、施工は日本ライナーが手掛ける。  駒沢給水所は近代上水道の父と呼ばれる中島鋭治が設計を手掛けた。配水塔の上部に施された王冠を模した装飾は「丘の上のクラウン」と呼ばれるなど、大正ロマンを感じさせる独創的な意匠が街のシンボルとして地域住民に親しまれている。12年には配水塔と配水ポンプ所が土木学会選奨土木遺産として認定された。