重層下請構造の実態調査 元請・下請間で課題認識に差

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 国土交通省が建設業の重層下請構造に関する実態調査を行ったところ、中間下請け・最終下請けなど工事の請負人側から、「適切な報酬を得られない」といった課題を指摘する回答が多く寄せられた。元請けや上位下請けなど注文者側はそれほど下請けへの報酬を課題視しておらず、請負契約を巡る立場によって認識にずれがあることが確認された=グラフ。  重層下請構造は、多様な専門工事業者による施工を必要とする建設業の特性から生じているものの、施工の非効率化や技能者の処遇へのしわ寄せといった課題が指摘されている。国交省は2025年度、課題の有無や発生要因を特定するため、元請け・下請け合計で2000社超にアンケート調査を実施した。  元請けに現場の次数を聞いたところ、土木工事は94・4%と大半が3次下請けまでに収まっていて、4次下請け以上は5・7%とごく一部だった。これに対し、建築工事で3次下請け以下は68・9%にとどまり、4次下請けが21・5%、5次下請け以上も9・7%あるなど、建築工事の方が重層化する傾向が見られた。  重層下請け構造が形成される要因についても調べた。元請けや上位下請け業者に、工事の一部を下請けに出す理由を聞いたところ、元請けからは「自社のみで請け負えない業種が含まれるため」との回答が38・5%、「専門業者に委託した方が品質が高くなるため」が31・6%と大きな割合を占めた。  一方、上位下請け業者からの回答は、「人手不足・機材不足を補うため」が37・6%で最も大きな割合を占めた。「直接雇用している技能者がいないため」は5・5%と一部にとどまった。繁閑差などを背景として直接雇用で抱えきれない技能者を、外注で補っている構図が裏付けられた。  重層下請構造に起因する課題については、注文者(元請け・上位下請け)と請負人(上位下請け・最終下請け)に分けて回答を分析した。注文者は「施工品質や安全性が低下している」との回答が特に多く、建築の現場で30・2%、土木で25・3%を占めた。「下請けと報酬に関して紛争が生じやすい」は建築で12・3%、土木で10・3%と一部にとどまった。  請負人の立場からは、「適切な報酬を得られない」が建築で28・1%、土木で19・7%を占めた。注文する側と請け負う側の立場の違いで、報酬の適正性についての認識のずれが明らかになった。  調査結果は、今後の建設業政策に関する有識者勉強会での参考に活用。勉強会の議論のまとめでは、企業が失注に伴うリスクを軽減するため、直接雇用を減らして外注に頼る傾向があるとし、重層下請構造の解消へ規制的な手法とインセンティブ設定の両面から政策を検討するとした。