「おそれ情報」は怖くない!? 契約変更協議をスムーズに

中央
このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。 P.中東情勢の悪化で資材の供給不安や価格上昇が進んでいます。 Q.シンナーが手に入らないんでしょ? P.ホルムズ海峡が封鎖されたことを受け、大手塗料メーカーが塗料用シンナーの出荷統制や値上げを発表しました。塩化ビニルやストレートアスファルト、軽油、断熱材など、石油関連製品を中心に影響が広がっています。 Q.こんなことって今までもあったの? P.2022年のロシアのウクライナ侵攻の時にも、ロシアに対する経済制裁に端を発し、世界的に資材価格が上昇しました。このことは、現在も進んでいる物価上昇の引き金にもなりました。今回は、主要な産油国が集まる中東地域での情勢不安ということもあり、石油関連製品の供給不安の側面が色濃く出ています。建設工事の中止・延期も発生し、影響の長期化を懸念する声も強まっています。 Q.価格転嫁だっけ?うまくいくのかな? P.建設業法には、24年の改正で、価格転嫁協議の円滑化ルールが整えられました。受注者が契約前に「おそれ情報」を通知すると、注文者は価格上昇分を反映するための変更協議に誠実に応じることが求められます。 Q.「おそれ情報」?ナンカ怖い名前じゃない。 P.〝恐ろしい〟ではなくて、資材価格が高騰する〝恐れ〟があるということですね。資材工場が自然災害に被災し、価格が急速に上昇したり、紛争によって輸入製品の価格上昇が進んだりすることを受注者が「おそれ情報」として発注者に通知しておきます。根拠となる情報として、新聞記事、資材メーカーの記者発表、統計資料などの客観的な情報を添付する必要もあります。 Q.「おそれ情報」ってみんな通知してるの? P.このルールの施行から1年半足らず。全ての受発注者にルールが浸透しているわけではありません。 Q.だったら価格転嫁できないじゃない。値上げの分だけ利益が削られるってこと? P.必ずしもそうではありません。建設業法令遵守ガイドラインでは「おそれ情報」の通知がなくても、発注者が契約変更協議を拒む理由にはならないとしています。昨年12月に改正された標準約款でも、資材の供給難などがあった場合に契約変更を請求できることなどを規定しています。  「おそれ情報」は変更協議をスムーズにするためのものであり、通知していないからといって、価格を転嫁しなくてもよい、ということにはなりません。ただ、業界の統一様式もありますので、受注者側も「おそれ情報」を契約前に通知し、予測しきれない価格高騰に備える必要があるでしょうね。