〈クローズアップ〉公共事業にも影響じわり 中東情勢、県内企業が不安の声
神奈川
中東情勢の緊迫化が続き、神奈川県内の建設関連企業にも資機材価格の高騰や供給不足といった影響が少しずつ出始めている。公共事業に関しては、神奈川県や横浜市の発注工事では中止や工程変更に至った現場はまだないが、一部で断熱材や防水・塗料材の出荷見通しが立っていないことを把握しているという。供給不安が改善したとしても、値上げの影響や価格転嫁の遅れが残れば、特に中小企業では経営体力を奪うことにもつながりかねない状況にある。
横浜市建築局の担当者によると、同市発注の公共建築関連で「延期や中止に至っている現場はまだない」(4月24日現在)。ただ、受注者からは「資機材の出荷見通しが立たない」または「出荷できなくなる可能性がある」という問い合わせや相談を受けているという。この現状が続けば、近いうちに何らかの影響が出てくるのは避けられないだろう。市では、「まずは現場の状況把握に努める」とし、「工程の見直しや工期延長が必要であれば個々の現場で相談していく」との方針だ。
併せて、工事契約で単品スライド条項の運用を変更。既契約分のうち、残工期が2カ月未満の工事(6月23日までに工期満了となる案件)についても請求を可能にする。
また、神奈川県と横浜市、川崎市の各自治体では、中東情勢の緊迫化や原油価格の高騰によって影響を受けている中小企業に対し、資金繰りなどについての相談に応じる特別相談窓口を設置している。
横浜市の相談窓口を運営している横浜企業経営支援財団(IDEC横浜)に聞くと、中東情勢に関連した経営支援に関する相談はまだないというが、「シンナーが入ってこない」「システムバスの7月以降の納品が止まるのではないか」「値上げ交渉を迫られた」などの声が寄せられている。
また、神奈川県内では、建設業の約8割が中東情勢の緊迫化によって事業活動にマイナスな影響が出ていると東京商工リサーチの調査に回答=図。この調査はユニットバスの新規受注停止などが顕在化する以前の4月上旬に行われたもので、現在ではさらに影響が広がっていることが予想される。
例え世界情勢が改善したとしても、中小企業の経営が苦境に陥れば、円滑な公共事業に陰を落とすであろうことは想像に難くない。行政には、受注者や業界団体の声を受け止めた柔軟な対応を期待したい。
