現代社会の根幹支える地図と測量 宮本純一国土地理院四国地方測量部長に聞く

四国

宮本純一四国地方測量部長

 地図と測量の重要性は日常生活の中では見えにくいものの、インフラ整備や防災・減災、土地管理、さらにはスマートフォンの地図アプリに至るまで、現代社会の根幹を支えている。四国地域で地理空間情報の整備と普及を担う国土地理院四国地方測量部は、教育現場での学習会や最新技術の紹介、自然災害伝承碑の活用支援など、多様な取り組みを進めている。測量行政の最前線で何が行われ、どのような思いで地図作りが続けられているのか。6月3日の「測量の日」を迎えるに当たり、宮本純一四国地方測量部長に話を聞いた。  ―四国地方測量部の業務内容を伺います。  「四国地方測量部は、全国10カ所にある国土地理院の窓口の一つとして、四国地方の電子国土基本図(地図情報)の更新、三角点や電子基準点の維持管理、自治体が行う公共測量に関する助言や審査を行っている。また、災害対応や地理空間情報の普及・利活用促進など地域に密着した測量行政を行っている」  ―測量の日の意義・目的を教えてください。  「測量は普段暮らしている中であまり意識されるようなものではないが、道路や河川などのインフラ整備や維持管理、土地の境界や不動産登記、また防災・減災や復興・復旧、スマホ地図やカーナビなどさまざまな社会活動の基盤になっている。こうした測量の重要性を一般の人たちに理解してもらうことを目的としている」  ―四国地方測量部で行っている測量の日の取り組みや測量の魅力発信について教えてください。  「例年、小学校や高校で測量・地図学習会を行っている。小学校については今年、高知県宿毛市の咸陽小学校で、地図記号を学んだり、歩測体験をしたりして地図を身近に感じてもらおうと考えている。高校は徳島県の阿南光高校、香川県の多度津高校、愛媛県の八幡浜工業高校、高知県の須崎総合高校で、各県の測量設計業協会の協力を得て、測量を学んでいる生徒たちに座学や実習を交えながら、GIS(地理情報システム)や最新技術を学んでもらいたいと考えている。記念講演会や子どもを対象にした測量体験ができるイベントへの参加も予定している」  ―四国で設置されている自然災害伝承碑の数と活用事例を聞かせてください。  「四国4県の47市町村で213基の自然災害伝承碑が登録されている。最近では1952年7月の梅雨前線豪雨で被害を受けた松山市菅沢町と高浜町1丁目の2基が昨年12月、地理院地図に登録された」  「昨年度の活用事例としては、愛媛県で行われた肱川総合水防演習で、四国防災八十八話・普及啓発研究会とそのメンバーである愛媛大学、河川情報センターと連携し、防災クイズラリーを実施した。国土地理院からは『愛媛県内に自然災害伝承碑は何基ある?』を出題し、ブース内の展示地図を読み解くと回答が得られるクイズを出題した」  「四国地方測量部が実施しているわけではないが、土佐清水ジオパーク推進協議会や海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所では、自然災害伝承碑を用いたイベントや地域に根差した防災学習を実施している。このように、自然災害伝承碑は過去の災害を伝え、誰でも活用できるオープンデータになってきていると感じている」  ―地図作りへの思いと地図作りの際に重視することがあれば教えてください。  「地図は日常に溶け込み、意識せずに使われているため、今やなくてはならない存在。地図を利用する立場からすると、地図が間違っているということは想定されていない。そのような信頼を裏切らないよう、正確な地図を提供することを一番大切にしている」  ―測量部長から見る測量の魅力とは何ですか。  「歴史と技術の進化を体験できるところが魅力。入省して数年は基準点測量を担当していたが、セオドライトという角度を測る機械と、距離を測る機械を背負って山に登り測量を行っていた。明治時代は距離を測る機械が無いので、角度だけで測量していた。その距離を測る機械を扱えるだけですごい進歩だと思う。それが今では、距離と角度を一緒に測るトータルステーションや衛星測位、電子基準点が標準的となった。地図についても、紙に加え電子地図が普及した。4月からは3次元電子国土基本図を出し始めた。仕事をしながら技術の進化を感じることが測量の魅力ではないか」