〈クローズアップ〉中東情勢とマンション工事 再見積や工法変更 苦境への対応続く

神奈川
 緊張が続く中東情勢。建設業界にも原油不足の影響が及ぶ。ナフサを原料とする塗料や防水材、アスファルト合材など、多くの建材で供給停止や価格上昇が発生している。マンション工事の現状について、大規模修繕工事関連の事業者やデベロッパーに聞いた。 【大規模修繕】組合不安も「計画進める努力を」  外壁塗装や屋上防水が大きな割合を占めるマンションの大規模修繕では着工済みの現場でも影響が出てきた。横浜市住宅供給公社によると、コンサルティングを担当している案件で施工者側から設計変更や契約価格の見直しの要望があるという。「5月中には各メーカーの改定価格が出る予定なので再見積もりなどの対応をとる」としている。  市住供の窓口には管理組合からの不安の声も多くなった。5~6月は総会のシーズン。大規模修繕工事に関する決議を行い、計画が動き始める時期に重なる。  工事の先送りなどの意見も出ることが予想されるが、とある大規模修繕の設計・監理会社の担当者からは、「2年前にウクライナ情勢の影響で計画を延期した工事もあったが、むしろ工事価格は上がっていくばかり。計画を進める努力をした方がよいのではないか」という声も上がる。  マンション大規模修繕工事には設計・監理者や施工者、管理会社、マンション管理士といった多くの専門家が関わり、管理組合を支援する。先の見えない状況だからこそ、専門家には工事内容や資金計画の見直しといった提案により、管理組合が最適な決断をできる材料を提供する役割が求められている。 【新築】販売低調に追い打ち、「二重苦、三重苦」  新築工事も打撃を受けている。首都圏で分譲マンションを中心に展開するデベロッパーは、「話題となっているユニットバスだけではなく、ゴム、シーリング材などほぼ全ての設備や機器に影響が出ている」と口調は重い。「大ロットで注文ができ、大量の在庫を確保できる倉庫を持つ大企業であればよいが、こまめに発注する中小のデベロッパーにとっては特に厳しい状況だ」と話す。  販売への影響も懸念する。「定まった規格の製品の供給が優先され設備にオプションを付けられない可能性がある。エンドユーザーの要望に対応できないと購入意欲は下がってしまう」。  不動産経済研究所(東京都新宿区)の調査によると、25年度の神奈川県内分譲マンションの初月契約率は、24年度比マイナス7・4ポイントの60・1%に下降。好不調の目安となる70%を大きく下回る。すでに建築費高騰による販売価格の上昇や金利上昇の影響で消費者の動きが鈍くなっている側面があり、「もう二重苦、三重苦」とこぼす。  一方、投資用マンションデベロッパーは「例えばアスファルト防水や塩ビシート防水が難しいなら他の工法に代えるといった工夫も必要」として、柔軟な対応により工期の遅延を防ぐ考えだ。