老朽化対策の安定財源確保 成長投資の議論忘れるな
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財務省は、2027年度予算の編成に向けた議論で、インフラ老朽化対策の安定財源確保と当初予算化を提案した。公共投資に長期の見通しを持たせることは、受注する建設業界にとって計画的な人材・設備投資の後押しにもなり、歓迎したい。同時に、公共投資がメンテナンス一辺倒にならないよう、経済成長に資するインフラ新規整備の重要性を改めて訴える必要がある。
財務省の提案は、新年度予算の編成について議論する審議会で示された。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえ、道路やその地下にあるインフラの機能維持・長寿命化の重要性を指摘した。
八潮市の事故を踏まえた道路関連インフラの保全は、法定計画である第1次国土強靱化実施中期計画に位置付けられている。財務省は5年で3兆円程度の国費を要するとし、安定財源の確保と当初予算化を提起した。
これまで、第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分の事業費は補正予算に計上されたが、建設業界は当初予算での安定確保を求めている。激甚・頻発化する災害への備えの社会的重要性が増していることに加え、建設企業にとっては将来にわたる安定的な受注が見込めて初めて、DX化による生産性向上や若手の採用といった産業の持続性向上につながる投資が可能となるからだ。
高市政権は補正ありきの予算編成からの脱却や、国土強靱化をはじめとした危機管理投資の予算を複数年の枠で確保する考えを示している。財務省の提案はこうした方針に沿ったものだ。
ただし、財務省は同じ会議で、建設業の人手不足を背景に、公共工事の増加が民間工事を押し出す、いわゆる「クラウディングアウト」への懸念も示した。老朽化対策を当初予算化したとしても、総額で公共事業費が抑制されれば、これまで当初予算で確保してきた事業を圧迫しかねない。
インフラの老朽化は今後も深刻化が見込まれ、安定的に予算を確保することが望ましい。ただ、公共事業の役割はそれだけではない。土木学会は22年に「みらい志向に立てば、インフラ整備に概成はない」とし、積極投資を提言した。
高市政権は「日本列島を、強く豊かに」する成長投資の推進を掲げる。予算編成の在り方が見直されようとしている今、建設業界は、経済成長に資する高規格道路や港湾・空港などのインフラの計画的な整備に関する議論を改めて喚起すべきだ。
