都が格付工事の発注標準見直し 中小の参加機会、増加

東京

東京都 現行基準と見直し後の発注標準 適用件数の比較

 建通新聞社は東京都が7月1日以降に入札公告などを行う4分野10業種の格付け工事で発注標準金額を見直すことに伴い、等級ごとの件数がどのように変化するかを2025年度の発注工事でシミュレーションした。その結果、A等級の件数が減少し、B以下の等級に分散する傾向がみられた。物価の高騰などで従来ならB等級向けの工事がA等級に発注されるなど、これまで減少していた中小企業の入札参加機会が見直し後に増加する可能性が高い。  都が工事の発注標準金額を設定しているのは▽舗装(道路舗装)▽土木(橋りょう、河川、水道施設、下水道施設、一般土木)▽建築(建築)▽設備(電気、給排水衛生、空調)―の4分野10業種。同規模企業間での公平な競争を目的に企業を格付けし、格付けに応じた標準的な価格帯を定めて工事を発注している。  格付けは舗装、土木、建築の3分野がA~Eの5等級、設備でA~Dの4等級。現行の発注標準金額は例えば舗装のA等級で2億円以上(税込み予定価格、以下金額同じ)、B等級なら8000万円以上2億円未満となっている。  7月以降はこれを等級に応じて200万円~1億3000万円の幅で引き上げる。舗装のA等級は6000万円アップの2億6000万円以上とする。B等級では下限が2000万円アップの1億円以上、上限が6000万円アップの2億6000万円未満になる。  見直しは15年度以来11年ぶり。財務局の石川康貴契約調整技術担当課長は「物価高騰や建設デフレーターなどの指標の動きに合わせて(新たな価格帯を)設定した」と説明する。  建通新聞社のシミュレーションは25年度発注工事の個々の予定価格を現行と見直し後の発注標準金額に当てはめて件数を算出、比較した。その結果、4分野の全てでA等級の件数が減少。舗装、土木、設備の3分野は減少件数が2桁以上で、中でも舗装は52件が7件に減った。   分野ごとに細かく見ると、舗装はA等級が減少した分、B等級以下が全て増加。土木はA等級が減り、B等級とD~E等級が増えた。建築はA等級とC~D等級が減少し、E等級が増加した。設備はA等級とC等級が減少し、B等級とD等級が増加した。   ■中小、見直しを歓迎  発注標準金額を巡っては、東京都中小建設業協会(都中建)が2月に財務局との意見交換で、「物価高騰により、従来ならB等級に相当する規模の工事がA等級に上がり、A等級の案件が増加している」と指摘。特に都営住宅の建築で「A等級の工事が増えているため、B等級が多い会員企業の受注機会が減っている」などとして、十数年変わっていない発注標準金額を格付けに見合った価格帯へ見直すよう要望していた。  都中建の渡邊裕之会長は今回の都の対応について「要望通りに見直してもらい感謝している。会員からも喜びの声が上がっている」とコメントした。