下水道管路の老朽化対策 「事業運営一体化」推進を

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 職員不足が深刻化する地方自治体が適切に下水道管路の維持管理を進められるよう、国土交通省は「下水道事業の広域連携」の推進を強化する。今国会に提出している下水道法の改正案では、広域連携推進計画の策定を都道府県の努力義務とした。埼玉県八潮市の道路陥没事故を契機として、自治体は、下水道事業運営の在り方の見直しを迫られている。  八潮市の事故は、下水管の老朽化に起因する道路陥没の一例に過ぎない。規模の大小はあるものの、下水管の老朽化による道路陥没事故は、年間で約2600件も発生している。高度経済成長期に多く整備されたため、20年後には下水管全体の4割に当たる延長約20万㌔が、敷設後50年以上を経過するという。八潮市と同様の事故を二度と起こさないためにも、老朽化対策は急務だ。  一方で、自治体で下水道事業に携わる職員数は、全体の7割以上を占める1060団体が5人以下と、厳しい状況に置かれている。小規模な自治体ほど、計画的な更新に必要な財源を確保できていないことも、もう一つの大きな課題だ。  努力義務とする広域連携推進計画では、複数市町村による下水道施設の共同管理や、市町村が連携して広域組合を組織し、下水道事業の運営を一体化・統合することなどを、都道府県に主導してもらう。市町村が管理する下水道施設の規模や人員配置を適正化し、持続可能な維持管理体制の構築につなげる狙いがある。  事業統合によって汚水処理人口が10万人以上となる自治体には、必要な施設整備を支援する新制度も創設するなど、財政支援も強化する。統合すれば、小規模な下水管の改築や修繕も支援対象とする。  事業運営の在り方と同時に、維持管理工事の発注方法の見直しも必要だ。国交省は、水の官民連携(ウオーターPPP)を推進することで、業務の効率化や事業コストの縮減を促している。  国交省によると、全国の自治体のうち下水道事業運営の一体化を計画しているのはごくわずかだという。老朽化によるリスクが増大する中、自治体には確実に安全性を確保できる体制が求められる。広域連携の推進を後押しする今回の法改正をきっかけに、下水道事業運営の大きな転換を期待したい。