中東情勢の悪化 中四国地方の建設現場も直撃 工事の遅延や中断相次ぐ

岡山

提言書を高知市に提出する日塗装高知県支部

 中東情勢の悪化が中国・四国地方の建設現場を直撃している。原油を原料とする塗料やシンナーなどの供給が滞り、工事の遅延や中断が相次ぐなど、地域経済への影響が深刻さを増している。  岡山県ではシンナーや塗料不足が顕著で、「工事契約を履行できない現場が出る」と商工会議所に危機感が寄せられている。広島市のマンション修繕現場では、足場設置後に塗料が入らず工事が停止。足場リース料の増加を誰が負担するかで訴訟に発展する可能性もあるという。  「塗料は品薄で価格は以前の1・5倍以上。シンナーや錆止め、ビニール製品はメーカーに発注しても一切入ってこない」と危機感を語るのは日本塗装工業会徳島県支部の菅原清司支部長。徳島県内では在庫でしのぐ企業が多いが、すでに塗料不足で工事を中断した例も報告されているという。  徳島県内のある自治体の担当者は「イラン情勢で工事のめどが立たない。仮に再開できても工事費は数倍に膨らむ」と嘆く。別の自治体も外壁塗装の発注が年度内にできるか不透明で、補助金事業の進行に支障が出ている。  こうした事態を受け、徳島県は適正な請負代金設定や工期確保、価格高騰などに関する特別相談窓口を設置した。  香川県でも状況は同様で、油性・水性塗料、シンナーの入荷が遅れ、副資材の不足がより深刻だという。「6月以降は少しずつ材料は増える見通しだが、価格の高騰が止まらない」と業者は不安を隠さない。  愛媛県では、県庁内に「中東情勢影響対策チーム」を設置し、さまざまな対応を行っている。また、いよぎん地域経済研究センターの調査で、76・6%の企業が原材料調達に「マイナス影響」と回答。燃料費・物流費の上昇も8割超が負担増とし、利益悪化は79・9%に達した。建設業からは「塗料・シンナー・防水材の60~80%の値上げ」「まとまった数量の調達が困難」といった声が上がる。  高知県も各産業への聞き取りを進め、国への提言を検討中だ。日本塗装工業会高知県支部はシンナー不足について県と高知市に「塗装資材の安定供給に向けた支援」「適正な価格転嫁と工期調整の周知」「中小企業のためのセーフティーネットの拡充」の3項目からなる提言書を提出した。  資材高騰、人手不足、労務単価上昇が重なる中、建設業界はかつてない難局に直面している。各県の対応が急がれる。