地下埋設物を統合した3D都市モデル 四日市市で活用進む

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デジタルインフラ台帳の参考イメージ(提供/四日市市、日建設計、Esri)

 上・下水道やガス、電気といった地下埋設物を統合した3D都市モデルの活用が、三重県四日市市で進んでいる。市が日建設計(東京都千代田区)と共同で各社の埋設物データを統合し、3Dモデルを作成。「デジタルインフラ台帳」として、オンライン上で配置や属性情報を確認できるようにした。自治体が主体となった地下埋設物の3Dモデルの整備・運用は、全国でも初の取り組みとなる。  このデジタルインフラ台帳は、JR四日市駅から西に延びる中央通り(延長約1・6㌔)を対象に作成。管理は四日市市が担う。データはクラウド上で保管・共有されており、本年度から市と埋設物事業者に限って運用を開始した。権限者であれば、いつもでオンライン上で台帳の閲覧が可能となっている。  台帳では、上・下水道とガス、電気、通信のデータを統合。各埋設物の深さや延長、距離などを3D化するだけでなく、地上構造物や道路標示の情報も盛り込むことで、複雑に入り組んだ地下埋設物の配置を正確に把握できるようにした。各埋設物のモデルには属性情報を付与しており、種類や材質、外径などが確認できるようになっている。オンライン上で台帳を確認できるようになることで、リモートでの打ち合わせも可能になった。  一方、現場でもデジタルインフラ台帳の活用が進む。作成した3DモデルをAR(拡張現実)技術と組み合わせることで、画面上に仮想の掘削穴を再現。AR画面でも属性情報が確認できることで、現場での打ち合わせ時に図面が不要となっている。属性情報には土かぶり情報も盛り込まれている他、任意の位置で埋設管の土かぶり深さを計測することが可能となっており、管の破損リスクの低減も期待できるとした。この他、災害時にマンホールやバルブが土砂で埋まった場合でも、埋設物の位置の特定が可能だという。  この3Dモデルの開発は、国土交通省のスマートシティ実装化支援事業に選ばれている「四日市スマートリージョン・コア実行計画」の策定をきっかけに、23年から始動。市が持つ地上データと上・下水道、ガス、電気、通信の各事業者の台帳データを統合して作成した。台帳は一般的なパソコンでの動作を見込み、複数のパターンから操作性と情報密度のバランス調整を図ったという。  開発に当たり、四日市市と日建設計は運用ガイドラインを作成。埋設物の各事業者と協議を重ね、運用体制やデータの管理方法、更新データの提供方法などを確立した。加えて、3Dモデルも国土交通省が主導するPLATEAU(プラトー)の標準製品仕様書に基づいて設定。同様の取り組みが全国的に広がっていくことを見据え、他の自治体や事業者による組み合わせでも、将来的に今回の3Dモデルとの統合が可能な仕様を目指した。  今回のデジタルインフラ台帳の作成で得られた知見は、国交省を通じて国の施策に反映されていく方針。日建設計も今回の実績を基に、他の自治体とも協業していきたい考えを示している。  老朽化したインフラの維持管理は、全国の自治体に共通する重要課題でもある。25年1月には埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生しており、社会的な関心は一層高まっていると言えるだろう。一方で、地下埋設物のデータ統合については統一のガイドラインが存在せず、加えて、各事業者との合意形成や、各社で表記ルールの違う台帳データの読み取りなど、乗り越えるべき壁がいくつもあり、容易にはいかないのが現状だ。  地下工事では確認や合意形成といった、細かな調整が必要不可欠となる。業務の大幅な効率化が期待できる今回の事例は、全国的なモデルケースになっていきそうだ。