体力増進の取組増加 〈連載〉高年齢者の労災防止・上

東京

ハードとソフトの両面から労災防止に取り組むことが求められる(写真はイメージ)

 改正労働安全衛生法が4月1日に施行され、高年齢者の労働災害を防ぐ措置が事業者の努力義務になった。他産業よりも働き手の高齢化が早く進んできた建設業ではハード面の環境整備にとどまらず、ソフト面の充実も必要になりそうだ。既に高年齢者の体力増進を図るための取り組み事例が出始めているという。  労働安全衛生法は労働災害を防ぐ総合的・計画的な対策を推進して職場で労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するため1972年に制定された。  近年の少子高齢化を背景に産業の別を問わず労働者の高齢化が急速に進んだことで、高年齢者の労働災害が増加。発生率は他の世代に比べ高く、被災時の重症化や長期休業の傾向も顕著だ。  そこで国は2025年5月14日に改正労働安全衛生法を公布。その中で高年齢者の労働災害を防ぐ措置を事業者の努力義務にした。所管の厚生労働省が改正法の施行に先立ち2月10日に公表した指針では、事業者の措置として▽安全衛生管理体制の確立など▽職場環境の改善▽高年齢者の健康や体力の状況の把握▽高年齢者の健康や体力に応じた対応▽安全衛生教育―の五つを示している。  厚生労働省東京労働局安全課の三浦玲課長は、改正法の施行から2カ月の間に「片足立ちなどで体力をチェックする事例が増えている」とし、事業者による措置の拡大に期待を寄せる。  ただ、どうしても大企業が先行しがちなことから、中小企業に取り組みを促すための周知や助言を積極的に進める考え。設備改善や専門家による指導などの費用をサポートする『エイジフレンドリー補助金』の活用も呼び掛けていく。   ■都内の建設業労災、50代が多く被災  25年に東京労働局管内で発生した建設業労働災害の確定値は休業4日以上の死傷者数が997人、うち死亡者数が17人となった。  死傷者数を年齢帯別に見ると、60代以上が217人(21・8%)で最も多く、20代の206人(20・7%)や50代の205人(20・6%)が続いている。  一方、死亡者数の年齢帯は50代の5人(29・4%)を筆頭に、40代と60代以上がともに3人(17・6%)、10代、20代、30代が各2人(11・8%)だった。  22年以降の建設業労働災害に占める50代の割合は死傷者で22年と23年、24年、死亡者で23年と24年が最も高かった。  このため三浦課長は「建設業は体力が資本。余計に気を付けてほしい」と指摘。また、高年齢者の労働災害が発生すれば「事業者にこれまでよりも強い指導がなされる」と努力義務の重みを説いた。