白川建設 災害井戸を通じた共助への挑戦

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災害井戸の仕組み

 2025年8月21日、白川建設は亀山市と「災害発生時等の緊急時における生活用水の支援協力に関する協定」を締結した。阪神淡路大震災や東日本大震災にはじまり、近年、各地で大規模自然災害が発生している。よく課題として挙がるのが、水=生活用水の供給問題。水の供給が停止した場合、給水車が来るのを待たねばならず、ままならない状態に陥る。地域の守り手である建設業に従事する企業として、地域の人々が生活用水に困らないように災害井戸を発案、同市と協定を結んだ。どのような取り組みか追った。  井戸は全国各地に多数存在している。一方で、普段使用していない井戸が多く、いざという時に「水質は大丈夫か」「揚水はできるのか」と疑問符が付く。南海トラフ地震が発災すれば、給水車も来るかどうか分からない。  この井戸をつくるきっかけとなったのは24年1月1日に発災した能登半島地震。同社も国からの要請で被災地支援に向かった。被災地での状況、これから備えるべきことなどを考えたとき、「水=生活用水の大切さを痛感した」という。  災害井戸は、同社資材置き場に設置しており、日量約28万8000㍑をくみ上げられる。災害後1人当たり必要な生活用水を日量約80㍑と仮定した場合、約3600人に供給ができる量となる。揚水の際の電力は、隣接する事業所に設置してある太陽光発電設備と、小型発電機、通常電力の3電源体制で、どのような状況になっても揚水できるように体制を整える。2月には実用新案に登録された。  地域の人々が断水などの緊急時に活用できるように、“災害井戸を通じた共助への挑戦”として、昨年11月に地元で開催された川崎ふれあいフェスタにブースを出展した。井戸からくみ上げられた生活用水があることを知ってもらうとともに、給水・運搬方法を学んでもらった。  2月には川崎小学校の4年生70人を対象に防災授業・災害井戸体験学習を行い、「自助・共助・公助」の重要性や災害時の「水=生活用水の大切さ」を学んでもらった。井戸の水も実際に触れ、温度を体感するとともに、ビニール袋での簡易的な運搬方法を体験し、児童から「帰ったらお母さんに話す」といった声が聞かれた。  では、実際に南海トラフ地震が発災した場合の被害はどのようなことになるのだろか。県が3月に発表した被害想定によると、理論上最大クラス(L2)の地震となれば、県内全域で震度6弱以上、津市南部から伊勢市にかけては震度7となる可能性がある。過去最大クラス(L1)でも県内の半分程度の地域で震度6弱以上の揺れを予測している。  津波はL2、L1ともに志摩半島で高さが10㍍以上となり、L2で県内面積の7・4%(2万8860㌶)、L1で5・5%(2万1491㌶)が浸水するとの想定がある。これらにより、死者数はL2で約5万人、建物の全壊・焼失が約22万2000棟、L1で約2万9000人、約5万5000棟の被害があるとしている。  国土強靱化などにより事前防災が進み、13年の被害想定と比較すると全体的に減少しているが、それでも安心・安全が確保できている状況にない。同社のような地域への事前防災の輪が大きくなっていくことで、特に災害関連死は減少するだろう。是非ともこのような取り組みが広がっていくことを期待したい。