中東情勢の悪化と建設業 変化に強い供給網構築を
中央
ナフサの供給が不安定化している影響で、建設業界にも先行きの不透明感が広がっている。政府は供給量が確保できているとの見解を示す一方、供給の「川下」である全国各地の建設企業からは、資機材の価格高騰や、納期が示されないなどの理由で、工事に支障が生じている状況が6月に入っても続いているとの声がある。政府の主張と現場の声にあるギャップが浮き彫りになっている。
全国建設業協会をはじめ、建設関連団体が5~6月に実施した会員向け調査をそれぞれみると、特に断熱材や塩ビ管などで価格高騰と供給不足が進んでいるとの回答が多い。
ただ、塩化ビニル管・継手協会がまとめた統計によると、塩ビ管・継手ともに生産量は4月時点で前年同月を上回っている。断熱材についてもウレタンフォーム工業会などが前年同月並みの生産・供給量を維持できるとの見通しを示している。
赤澤亮正経済産業相は6月9日の会見で、原油や石油製品は「国全体として必要量が確保できている」と強調しつつ、「一部で供給の偏りや流通の目詰まりが生じていると認識している」と述べた。金子恭之国土交通大臣も同日、石油関連製品の流通の目詰まりなどについて、これまでにおよそ9500件の相談があったと明かした。
供給量が十分であるはずなのに、なぜ「目詰まり」が起きるのか。資金力があり、取引先との交渉力が強い大手を中心に、調達への不安から、資材を過剰に発注している状況を指摘する意見もある。国交省は、調達力が弱い小規模事業者、特に中小の工務店や一人親方などに必要な資材が行き渡っていないとみて、実態調査や支援策を強化する方針だ。
15日、米国とイランの和平交渉が合意に達したことが報道された。ホルムズ海峡が開放されるのであれば、中東からの原油供給量が回復し、今の日本国内の混乱も徐々に解消に向かうのだろう。ただ、企業側にとって、中東情勢を受けた今の混乱は、取引先との関係や資金繰りをはじめとした自社経営を見つめ直す機会になるはずだ。値上げ分を迅速・適切に価格転嫁できる仕組みづくりも含め、サプライチェーン全体で外部環境の変化に強い業界へと変わるための足掛かりを得たい。
