先端技術普及推進機構 障害者の資格取得・就労を支援

神奈川

建設重機体験イベントの様子

 人手不足や技術者の育成という建設業界が抱える課題はより深刻さを増しており、さらに中東情勢の緊迫化による世界経済の影響を受けて資材が高騰、国内の建設業を取り巻く事業環境は悪化している。帝国データバンクが発表した4月の倒産集計によると、全7業種中建設業はサービス業に次ぐ件数の多さで、3カ月連続で前年を上回るなど価格転嫁が進まない中小・零細事業者を中心に厳しい状況が続いている。  こうした中、一般社団法人先端技術普及推進機構(SPAT)は障害者の資格取得・就労支援の一環として、車いす利用者を対象に、バックホウなどの建設機械やICT技術に触れる体験イベントを開催している。慢性的な人手不足が続く建設業界で、3Dマシンガイダンス、遠隔操作技術、AI解析などの急速な進化を受け『障害者が建設業に関わる可能性の拡大』につなげるため、ICT施工と障害者就労を結ぶ新たな取り組みを進めている。  同機構の水越雄一代表理事は「近年、ICT施工や遠隔技術などの進化により、身体的制約があっても建設業に関われる可能性が広がり始めている」と話す。同機構では、半身不随の障害を持つ人が建設機械関連の資格を取得すること目指しており、補助装置や技術的な工夫によってこれまで就労が難しいと考えられていた建設業で活躍する可能性を追求している。実際に体験イベントの参加者からは「建設業にこんな未来があるとは思わなかった」「自分にも可能性があるかもしれない」という声が上がり、新たな可能性を強く感じる機会になったという。  また杉本雄作理事は「これまで機器の精度を上げることで業務の効率化を進めてきたが、機械を操縦する人材の数を増やし、それを育成しなくてはならない。その観点から、障害を持つ方でもバックホウを操縦する潜在的な人材になり得る」とこれまで活用しきれていない人材に目を向ける重要性を語る。  一方で課題も残る。遠隔就労向けの制度整備や現場での安全や作業スペースの確保など、技術以外の環境整備だ。また、建設業に障害者が関わるという社会的認識そのものも、まだ十分に定着、浸透しているとはいえない。  同機構では障害者の資格取得・就労支援を重点事業に位置付け、今後も「建設業=重労働」という従来のイメージを変えるべく、障害者の就労環境の整備とその実証実験に取り組んでいく。