衛星と国土強靱化・盛土編 光学衛星で「不適正盛土」監視
東京
地形の改編 箇所抽出のイメージ(東京都ホームページより)
東京都は光学衛星の観測データを活用した不適正盛土の監視を2024年7月に始めた。盛土規制法の施行によって盛土を規制する区域が大幅に広がったため。人の目が行き届かない多摩地域の山間部を対象に、定期的に撮影した衛星写真を比べて不適正盛土の可能性がある箇所を抽出することで、現地確認を効率化する狙いがある。26年度からはAIも活用し、よりよい作業体制の構築につなげていく。
21年7月に静岡県熱海市に降った大雨で盛土崩壊による土石流が発生し、甚大な被害が出た。これを受けて国は「宅地造成等規制法」を抜本的に改正。いわゆる「盛土規制法」を制定して23年5月に施行した。規制区域の拡大や規制対象と許可手続きの追加などにより、盛土を巡る規制が大幅に強化された。
都は盛土などが崩落すれば人家などに被害を及ぼし得るとして、都内のほとんどを盛土に当たって許可または届け出が必要な規制区域に指定した。しかし、規制区域が従来の10倍程度に広がったことで、周辺住民からの通報や自治体職員のパトロールでは状況の把握に限界がある。
そこで作業体制の効率化を図るため、光学衛星の観測データを活用することにした。対象は特に不適正盛土の発見が難しい多摩地域の山間部。具体的には▽青梅市▽羽村市▽あきる野市▽八王子市▽日の出町▽奥多摩町▽檜原村―を含む面積約700平方㌔だ。
業務委託の中で撮影時期が異なる衛星写真を比較し、不適正盛土の可能性がある箇所を抽出してもらう。それを基に都が現地確認を優先的に行う箇所を決定。さらに、多摩建築指導事務所などの職員が現地確認の必要性を精査した上で、パトロールを実施して不適正盛土かどうか判断する。
不適正盛土の可能性を判断する基準として、▽盛土変化▽造成▽伐採▽滅失―の四つの変化種別を設けた。24年度の1度目の抽出で抽出された箇所は伐採が50%、盛土変化が20%、滅失が16%、造成が14%を占めていた。
その結果、パトロールに当たる建築指導事務所からは「盛土を発見する作業が効率化した」との声が上がった。ただ、現地確認が必要な箇所が多かったことから、25年度は絞り込みをかけて現地確認の箇所数を減らすなど、現場の声をフィードバックしながら体制の改善に努めた。
25年度までは委託業者が衛星写真のデータを見比べて不適正盛土の可能性がある箇所を抽出していたが、26年度からはAIも活用。変化種別のうち伐採の抽出をAIに任せて精度を検証する。将来的に他の変化種別へ水平展開することを見据えている。
都都市整備局の竹市基治開発指導・盛土対策担当課長は、衛星観測データの活用を通じて「(以前よりも)効率的な作業体制を構築できている」と考えている。
