〈クローズアップ〉川崎市発注工事の「くじ引き」 落札者の偏り防ぐ方策を 1者が1日に複数案件落札

神奈川【2026/07/16 神奈川版に掲載】

舗装や管渠工事はくじ引きによる競争が激しい

 受注機会の確保は中小建設事業者にとって経営や人材の育成に関わる死活問題だ。公共工事において入札金額が同一の参加者による「くじ引き」が多くの自治体で発生しているが、川崎市では舗装など一部の工事で50者近い参加者によるくじ引きが行われる事例がある。落札が決して容易ではない中、一部の市内事業者からはくじ引きが発生する工事で同一の事業者が1日に複数の案件を落札している実態に、懸念の声が上がっている。  川崎市によると、2025年度の契約案件または26年度の契約準備案件のうち、同一の事業者が1日に2件以上の工事を落札した事例が15件あった。加えて、同一の事業者が1週間で5件の工事、また別の事業者が2日間で4件の工事を落札するなど、短期間で偏りが生じる事例もあった。  川崎市は、一般競争入札の一部の業種と等級区分で「受注機会確保方式」を採用。公告日と開札日、入札参加資格が同様の工事は、くじ引きで落札できる件数を1者1件としている。しかし、落札者が同一だった15件は同方式が適用されなかったものだ。業種と等級は同一だが「土木C」や「土木D」など元々同方式の対象外だったパターン、業種や等級は適用対象だが「舗装B」と「土木B」など2件で参加資格が異なるパターンもある。また、業種と等級が同方式の対象でかつ同一の2件でも、本社所在地などの地域要件、主観評価項目の点数や災害協定の有無など付加された条件が異なっている場合は適用されない。  落札者が同一だった案件はくじ引きの参加者が10者に満たないものもあり、必ずしも多数の事業者が参加する工事ばかりではない。ただ、1者が1日で複数案件を落札している実態に不公平感を抱く事業者もいる。川崎市議会議員の長谷川智一氏(みらい川崎市議会議員団)は、6月の市議会でこうした受注機会の偏りについて問題提起した。川崎市から制度の見直しなどに関する答弁はなく、長谷川氏も「すぐに解決策が見つかるような問題ではない」と認識を示す。  最低制限価格で入札した参加者によるくじ引きは、川崎市に限った問題ではない。建通新聞社が各自治体に24年度のくじ引き率を聞いたところ、神奈川県で65%、川崎市で50%、相模原市で40%、横須賀市で53%など、多くの自治体で高い水準にあることが分かった。  川崎市では本社所在地を南部と北部で分ける「南北入札」や主観評価項目制度を活用したインセンティブ発注を導入しているが、これらの参加要件を適用した場合でもくじ引きの競争率は高い。「運」だけで数十分の一の確率を引き当なければならない状況が続く以上、受注機会が公平に与えられる制度の検討が求められる。