退職金もっと増やせないの? 「複数掛金」で1000万円実現
中央
このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。
P.処遇改善の意味って分かりますか?
Q.給料上げることでしょ。賃上げでしょ。
P.給与の要素が一番大きいのですが、労働時間や福利厚生、職場環境など、働き手の待遇を全体として引き上げる意味で使われます。建設業で言えば、社会保険加入や長時間労働の是正といったことも、処遇改善の一環で進められてきました。
Q.確かに給料だけじゃないよね。休みもほしいしね。
P.月々の給与だけでなく、将来の安定した生活を社員に提供することも、若い世代を採用したい企業には求められています。建設業では、技能者の退職金を充実させようという動きが進んでいます。
Q.退職金?それも処遇なの?
P.そうです。建設業には、建設業退職金共済(建退共)という特別な退職金制度があります。かつては日雇いが多く、現場に元請けと下請けが混在する建設業には、現場をわたり歩く技能者も掛金を日額で支払うと、退職金を受け取ることができる、法律に基づく退職金制度があります、
Q.へえー。退職金はいくらもらえるの?
P.日額320円の掛金を37年間納付すると、退職金388万円を受け取ることができます。ただ、都内の退職金の全産業平均842万円に比べると、極めて低い水準にあります。建設技能者の退職金を増額させようと、建退共に「複数掛金」という新しい仕組みを導入する動きがあります。
Q.ナニよそれ?掛金をたくさん払うってこと?
P.そうです。建退共は、中退共法という法律で掛金を単一とすることが決められています。退職金を増額したくても、日額320円以上の掛金を納付することは認められていません。この原則を改め、複数の掛金日額を設定できるようにする、というのが複数掛金の考え方です。
Q.でも掛金高くなっちゃうね。払うの大変じゃん。
P.担い手不足は建設業が抱える最大の課題です。退職金額も早く他産業に追いつかないと、若い世代が入職してくれません。今、業界全体で技能者の退職金を1000万円に引上げようという声が強まっています。こうした声に応えるため、厚生労働省は中退共法を次の通常国会で改正し、複数掛金を制度化しようとしています。
Q.複数掛金になると1000万円もらえるようになるの?
P.現行法では、建退共の掛金日額は上限を800円と定めています。厚労省は、技能者の技能レベルに応じて掛金日額を上乗せすることを考えているため、高い技能レベルで長期間働かないと、退職金が1000万円に届きません。このため、業界側では、法改正の際に掛金日額の上限も見直し、日額800円以上を納付できるようにしてほしいと訴えています。
