「持続的な成長産業に」 建設業の新ビジョン検討開始

中央
 建設業を持続的な成長産業とするため、新たなビジョンを議論する国土交通省の検討会が7月9日、初会合を開いた=写真。月給制への転換をはじめとした働く人の処遇改善や、建設企業の経営力強化、重層下請け構造の改善など2025年の政策勉強会で打ち出した問題意識を踏まえ、具体的な取り組み・制度改正の方向性を考える。楠田幹人不動産・建設経済局長は「将来に希望を持つことができ、わが国の経済発展を支え続けられる建設業の実現」に向けて活発な議論を求めた。  検討会は、国交省が技能者の処遇改善や適正な工期設定を盛り込んだ「建設産業政策2017+10」の公表から約10年が経つことに合わせ、次の10年で実現する建設業の新たなビジョンを打ち出す場となる。全7回の検討会を経て、27年夏にも議論の結果をまとめ、中央建設業審議会に報告する。  有識者を中心とした25年度の勉強会と異なり、今回は日本建設業連合会や全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会といった建設業団体の関係者も委員とした。設備工事業団体の日本電設工業協会、日本空調衛生工事業協会からも委員を招いた。不動産協会、埼玉県など官民の発注者にも委員として意見を求める。  座長に就いた三井住友信託銀行の大久保哲夫特別顧問は、建設業が厳しい環境に置かれているとの認識を示し、「転換していかなければならない時期に来ている」と述べ、新たなビジョンの提示に意欲を示した。  17年の「建設産業政策2017+10」の公表後、国交省は新担い手3法、第3次担い手3法により「工期の基準」「労務費の基準」を整備するなど、担い手確保の取り組みを進めてきた。今回、新たなビジョンの検討に当たっては、繁閑差や重層下請け構造など従来から残っている課題に加え、AIなどデジタル技術の発展や資機材価格高騰・労務費上昇による建設プロジェクトの停滞といった環境変化も視野に入れ、対応を議論する。  9日の検討会では、今後の主な論点を示した。「人を大事にする産業」に向けたテーマでは、月給制への転換など処遇改善策を議論。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用方策もテーマとする。業務の繁閑差への対応や柔軟な働き方の実現、労働力の融通も論点に挙げた。業界全体での人材育成や、外国人材に選ばれる建設業の実現についても話し合う。  「経営力のある産業」に向け、企業の経営力向上に対する支援や、企業統合・事業承継に向けた施策、AI・デジタル活用による業界全体の生産性向上も検討する。  「未来に続く産業」を目指し、重層下請け構造の改善方策や多様な人材の活躍に向けた業界慣行の見直し、女性・若者向けの業界イメージ改善なども検討する。