「マルチなエンジニア」育成 工業高校の改革後押し

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 文部科学省は、建設専門知識に加え、幅広い知識を備えた人材を高校生のうちから育成しようとしている。工業高校の教育を改革し、従来の技能・資格取得を中心とした教育から、複数分野の知識や技術を横断的に活用できる「マルチなエンジニア」の育成拠点への転換を後押しする。  文科省は今年2月、次世代の専門人材を育てるための「N―E.X.T.ハイスクール構想」を公表した。AIをはじめとするデジタル技術の発展や人口減少を見据え、地域や産業を支える人材を育成するとともに、居住地域に左右されず、多様で質の高い高校教育を受けられる環境を整える。  2025年度補正予算には2955億円を計上し、全都道府県に高校教育改革促進基金を造成。全国の専門高校や普通高校の中から先導校を選び、教育課程の見直しと施設・設備の整備を一体的に進める事業の公募を始めた。事業期間は26~28年度の3年間で、先導校は各自で定めたKPI(重要業績評価指標)の達成を目指す。6月30日に75拠点を採択しており、このうち工業科を含む専門高校は22校だった。  文科省によると、工業高校では「データもAIも使える、マルチなエンジニアを目指す提案が多かった」(初等中等教育局高等学校振興課)という。機械や電気、建築、土木などの専門技術のみを教育するのでなく、データ分析やAI、IoT、ロボティクスなどの複数分野の知識を組み合わせ、現場の課題を発見し、解決策を考えられる人材を育てる。  産業界との連携を強化する計画も多い。1日限りの技術者による講義や職場見学ではなく、長期インターンシップを単位と認めるデュアルシステムを導入する。地域の企業や大学が抱える課題や保有データを教材とし、生徒が技術者、大学とともに解決策を考える学習方法も積極的に採用。高等学校振興課は「地元の工業高校で育った人材が地域建設業を支える姿を、生徒にはっきりと見せる」ことを重視している。  また、製品・サービスの企画、事業化までを扱う授業、専攻科の設置などを盛り込んだ提案もあった。専門性を土台に、地域産業の変化に応じて新たな技術を使いこなせる力を養う。  先導校の設備を周辺の学校と共同で利用したり、先導校の授業を遠隔で受講できる体制を整備したりすることで、高校教育改革を地域内にも展開する。高校教育と地域の人材需要を結び付け、卒業後の就職や進学まで見据えた人材育成の仕組みを構築する。