防災庁設置法が成立 実効性高い体制構築すべき

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 7月13日に成立した防災庁設置法により、災害関連分野の司令塔となる防災庁の設置が正式に決定した。国難級の巨大地震の発生リスクが高まる中、産官学民が総力を結集した体制を構築するため、第一歩を踏み出した形だ。設置法の条文にも、防災庁が担う役割として、南海トラフ地震と日本海溝・千島海溝地震、首都直下地震への対策を講じることが、明確に盛り込まれている。  昨年3月にまとまった南海トラフ地震の新たな被害想定では、想定死者数が約29万8000人、建築物の全壊消失棟数が約235万棟と試算された。こうした想定に対して、南海トラフ地震に対する基本計画では、今後10年間で死者数を8割、全壊消失棟数を5割減少させる目標を設けた。  目標達成に向けては、上下水道施設や住宅の耐震化、無電柱化の推進、海岸保全施設の整備といった多分野にわたるハード対策を推進する必要がある。国土強靱化実施中期計画の2026年度の年次計画でも、同様の対策の実行が盛り込まれた。  国土強靱化推進会議の会合で、京都大学大学院の藤井聡教授は「防災・減災対策の効果は、対策が完了してはじめて発現する」と指摘した。南海トラフ地震への対策予算に関する24年度時点の試算では、「予算ベースでは、対策事業の完了に24~50年以上が必要となる」と強調。仮に今後10年間で対策を完了させようとすると、「少なく見積もっても年間3・8兆円ほど投資額が不足している」と述べ、予算拡充の必要性を指摘した。  ハード対策を担う建設業の実状はどうなのだろうか。担い手の確保にさらに力を入れる一方で、生産性向上に向けた省人化・無人化施工やAI活用を急ぐ必要がある。国土交通省は、持続的な建設業の実現に向けて7月から新たなビジョンの策定に乗り出した。下水道や河川施設についても、人口減少を踏まえて将来的にわたってインフラを維持管理するための方策が議論されている。  今後、防災庁を中核として、国全体としての防災対策が強化される。次のステップは、対策の実効性を高めることだろう。大規模災害による被害は、長年にわたって人々の暮らしや経済活動に深刻な影響を及ぼす。最悪の事態を回避するため、予算・財源を伴った実効性の高い体制を構築してもらいたい。