特別連載① リライフメンテホールディングス 代表取締役社長 山本融(やまもと・とおる)氏
東京
リライフメンテホールディングス代表取締役社長 山本融(やまもと・とおる)氏
インフラ再生に、共に挑む―。道路や橋梁、上下水道など、高度経済成長期に集中して整備されたインフラは概して老朽化が著しく、人々の生命や生活を脅かす事故の発生リスクが年々高まっている。リライフメンテホールディングスは、インフラ構造物の維持・補修に関わるスペシャリストが手を携え、社会課題を解決する目的で設立した。M&Aを通じて『インフラ再生に、共に挑む』グループ企業を増強し、事業基盤の拡大を図る考えだ。山本融代表取締役に企業の方針や今後の事業展開を聞いた。
―ホールディングスを設立した狙い
橋梁や道路、トンネル、上下水道など社会インフラの老朽化が進み、事故のリスクは年を追うごとに増大している。2012年12月に笹子トンネルの天井崩落事故が起き、その後も18年に東京都北区で埋設された水道管が破損、21年に和歌山県で紀の川に架かる水管橋が崩落するなど、同じ都道府県に住んでいない、もしくは当時の報道の扱いによっては人々の記憶からは消し去られそうな事例を含めインフラの老朽化に伴う事故は後を絶たない。明らかに増えている状況だ。しかし、こうした現状を懸念視しながらも建設業は人手不足や事業継承といった問題を抱え、インフラのメンテナンス需給は逼迫(ひっぱく)した状況にある。この課題に対応するため2024年7月からホールディングスとして本格的な活動を開始した。M&Aを通じて技術や実績のある企業の受け皿となり、採用や人材育成、経営支援を強化することで、インフラメンテナンス業の供給力を底上げする。設立後の25年1月、社会に衝撃を与えた八潮道路陥没事故が発生した。この『待ったなし』の現状を打開するには、日本の未来を守る至上命題として社会全体で向き合うことが不可欠だ。
―人手不足への対応
インフラ老朽化対策の需要が増す一方で、建設業は人材不足や後継者不在による事業承継問題が深刻化し、供給体制が追いつかないという望ましくない事実を突きつけられている。われわれは、各企業の採用支援や人材紹介の活用、評価制度の見直し、資格取得者の処遇改善などで人材確保と定着化を図っていく。さらにはM&Aによる事業承継支援で、いい技術と社員、企業の存続を後押しすることで維持・修繕に当たる人材を確実に確保していきたい。
―メンテナンス現場はAIではなく人手
インフラの点検、調査・診断分野でAI(人工知能)やドローンの活用が浸透している。しかし、塗装や電線の更新、資材設置の施工には経験や卓越した技能が求められる。人の手が不可欠だ。施工力を支える熟練技術者の確保は受注力に直結する。AIの活用が顕著になるほど、メンテナンスの現場では人手が一層必要とされるのではないか。グループの各企業は橋梁や法面、鉄塔などのメンテナンスに関わり、専門技術にたけた人材が多い。社員は皆、危険が伴う中でも鉄塔や橋梁で繊細な高所作業に当たっている。人でなければ解決しない仕事―。近い将来、そうした仕事にこそスポットが当たる日が来ると信じている。インフラの老朽化という社会課題に日々挑む現場の人々が尊重され、『かっこよくて誇れる仕事』として認知されることで、担い手が増える社会の実現へ貢献を続けていく。
