群マネ推進へ制度検討 インフラ管理の産業振興も
中央
国土交通省は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえたインフラ管理の方向性を示した。広域・多分野のインフラをまとめて管理する「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(群マネ)を推進する制度整備や、円滑な維持管理の受注に向けた入札・契約制度の検討、インフラ管理に携わる産業を振興する仕組みづくりを盛り込んだ。
7月28日に開いた社会資本整備審議会のインフラマネジメント戦略小委員会=写真=で打ち出した。委員会で議論を続け、今夏に法改正を視野に入れて議論の中間まとめを行う。
委員会では、地方自治体を対象に実施したインフラの管理体制に関するアンケート結果を紹介。小規模な自治体の技術職員不足や、点検・維持作業の受注者が限られている実態など、受発注者双方の課題を説明した。
委員長の家田仁政策研究大学院大学シニアフェローは、アンケートでインフラ老朽化状況の可視化に前向きな自治体が半数程度にとどまったことに触れ、制度改正や新技術導入に加え、インフラ管理の理念を根付かせる必要性を指摘した。
今後の方向性では、インフラ管理を広域・多分野連携で発注するため、群マネを推進する制度を検討するとした。インフラの設計段階から維持管理を想定して施設構造・材料を工夫するとした。実勢単価に応じた予算の確保や、財政支援の充実も盛り込む。
建設業を中心としたインフラ管理に携わる産業の「業界力向上」も掲げた。円滑な維持工事の受注に向けた入札・契約制度の在り方も検討する。
新技術の導入による維持管理の効率化も進める。新技術のカタログ整備や点検・調査結果のデータ標準化を通じ、インフラ管理を高度化する。
インフラ老朽化の深刻さを国民に広く発信し、維持管理を後押しする意識の醸成も取り組み事項に挙げた。7月に成立した改正下水道法では、下水道管理者に維持管理状況の公表義務を課すとした。他分野のインフラでも同様の情報を発信する他、インフラメンテナンス国民会議などの場を活用して周知する。
維持管理の予算確保を巡っては、日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会代表の梶浦敏範氏が、IT企業のサイバー攻撃対策を参考に、自治体においても規模に応じて老朽化対策の予算の目安を示すというアイデアを示した。
甲南大学の足立泰美教授は、人口減少に合わせたインフラの施設統合や区域見直しに際し、「都道府県にリーダーシップを発揮しやすい判断根拠や財政支援を与える必要がある」と述べた。
インフラ維持管理の効率化に向け、建設業界にAI活用やDX促進に向けた体制整備を求める意見も出た。
