「シーリング」ホントになくなった!? 物価上昇分も要求してよ

中央
このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。 Q.月が変わるたびに食べ物の値段が上がる… P.8月に値上げされた食品は2000品目を超えます。 Q.いつまで物価が上がるんだよ。 P.一度上がった価格が元に戻る可能性は低いと言われています。企業の売り上げが増えれば働く人の賃金も上昇するはずですが、大企業に比べると中小企業の賃上げは遅れています。価格転嫁を後押しするはずの政府の予算も抑制され、実質的な予算額が減少してしまっています。 Q.物価上昇を予算に反映するって言っているのにおかしいじゃん。 P.各省庁は、概算要求基準に従って予算を要求しますが、「シーリング」と呼ばれる要求額の上限があり、結果的に物価上昇分を十分に予算に反映できていません。 Q.シーリングってナニよ? P.シーリングは、直訳すると天井という意味ですね。言葉の通り、各省庁の概算要求に上限を設けるものです。1961年度予算の編成時に予算の膨張を抑制する目的で導入されました。前年度予算を下回る要求額とするマイナスシーリングや、前年度予算と同額とするゼロシーリングを採用した年もありました。 Q.最初から予算に上限があるということね。まあ当たり前か。 P.ところが、高市内閣は2027年度の予算編成から、このシーリングを設けない方針を決めました。 Q.え!?じゃあ公共事業費も増えるじゃん。 P.公共事業費を含む裁量的経費の要求額には前年度比20%増まで要望できます。 Q.話が違うじゃん!シーリングあるじゃん! P.裁量的経費の要求額には上限がありますが、成長投資や危機管理投資の関連予算を要求できる「『強く豊かな日本』投資枠」で上限なく予算を要求できます。この投資枠には、国土強靱化関連の予算も盛り込まれます。この投資枠では、シーリングを設けずに予算を要求できます。 Q.だからって急に予算が増えるものなの? P.高市内閣は補正予算依存からの脱却も同時に打ち出していますので、当初予算の公共事業費は増額要求しやすくなります。熊本地震の被害を見ても、国土強靱化にさらに投資する必要があることは明らかです。27年度の公共事業費は、25年度補正予算と26年度当初予算の合計額を上回れば名目ベースで増加したことになります。  ただ、当初予算にいったん計上された公共事業費は翌年度に削減しにくくなります。年度によって変動の大きい補正予算と比べると、厳しい査定を受けるかもしれません。国債発行に伴う財政悪化の懸念から、長期金利上昇のリスクもあります。 Q.ナンだか大きく変わるんだね。とにかく物価上昇分だけでも予算を増やしてほしいよね。