〝凡事徹底〟で労災防止を 建災防神奈川支部 千葉幸則専務理事

神奈川【2026/08/06 神奈川版に掲載】

千葉幸則氏

 厚生労働省の労働基準監督官として38年間勤め上げた。中でも印象に残っているのは、さまざまな労働災害の現場に出向いて調査を行う、いわゆる「災害調査」という仕事。「死亡災害はあってならないという気持ちを強くする現場ばかりだった」と振り返る。建災防神奈川支部の専務理事兼事務局長への就任に当たっても、「死亡災害を1件でも減少させたい」との思いを強く抱いている。  ただ、神奈川県内の建設現場で2025年に起きた死亡災害は「残念なことに減少していない」。休業4日以上の死傷災害については減少しているものの、高水準で推移しており、「建設現場を管理する方々に対して、危険を見極める感性と想像力を高められるような教育や安全講話などにしっかり取り組んでいきたい。一人でもその説明に共感をして頂けて、自社の安全管理に生かしてもらえることができれば」と訴えた。  長期的にみると、労働災害全体の件数は減少傾向にある。一方で「労働災害の件数が減っているということは、自身の経験を語ってくれる人も少なくなっているということ」と危惧する。「過去に発生した災害の傾向や、事例を記憶しておくことが必要。大きな意味でリスクアセスメントと言えるかもしれない。当たり前のことを当たり前にこなし、継続するという〝凡事徹底〟が現場管理には必要だ」。  最近では建設現場でもDXが進んでいるが、「安全対策は人による部分が大きい」との実感を語る。「顔を合わせてあいさつすれば、信頼関係を構築できるだけでなく、体調の変化も感じ取ることができる。〝健康KY〟とも言えるかな」と話す。  【略歴】岩手大学工学部資源開発工学科卒業。1987年労働省(現・厚生労働省)入省。栃木労働局鹿沼署と神奈川労働局小田原署、横浜南署の署長、神奈川労働局労働基準部安全課長などを歴任。2025年7月建災防本部安全管理士、26年5月から現職。1964年生まれ、東京都大田区出身。