Focus パートナーシップ構築宣言 問われる価格転嫁の実効性
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発注元の企業が取引先との適正取引や価格転嫁を自ら約束する「パートナーシップ構築宣言」の宣言企業が7月で10万社を超えた。2020年7月の登録開始から6年がたち、宣言企業は全国のあらゆる産業に広がっており、建設業の宣言企業も1万4922社(8月15日時点)と全体の1割強を占める。宣言の手続きが容易な一方、地方自治体の公共調達での優遇措置があり、建設業の宣言企業が増加する追い風になっている。
パートナーシップ構築宣言は、企業が発注者側の立場でサプライチェーンの共存共栄、取引先への適正な価格転嫁に取り組むことを代表者名で宣言し、ポータルサイトで公表する政府の枠組み。宣言企業は10万4626社に上っている。
産業別では、建設業の宣言企業が製造業に次いで2番目に多い。宣言企業には、経済産業省の補助金審査での加点・優遇措置に加え、自治体が公共調達に独自のインセンティブを設け、地元企業の宣言を後押ししている。具体的には、入札参加資格審査の主観点で加点する自治体が多いという。
公共工事を受注する建設業にとっては、補助金への加点よりも、こうした公共調達関係の加点がインセンティブとしての効果が高い。全産業で2番目に建設業の宣言企業が多いことにも、こうした背景がある。
例えば、建設業の宣言企業が2213社と全国で最も多い埼玉県では、県の25・26年度の入札参加資格審査で、パートナーシップ構築宣言の宣言企業を加点する項目を追加。さらに、県発注工事の総合評価落札方式でも「企業の社会的貢献度」の評価項目で加点対象としている。
実際、中小企業庁が宣言企業の取引先企業に聞いたところ、「価格決定方法に不透明な点があれば、専用窓口に通報・相談できる体制が整っている」「余裕を持った工期が設定されている」「夜間・深夜時間帯の拘束時間の適正化」といった回答があり、適正取引や価格転嫁への効果が確認されている。
ただ、中企庁では「さらに実効性を確保する必要がある」(事業環境部取引課)と考えている。宣言のハードルが低く、宣言企業が10万社を超えた反面、「補助金などのインセンティブ目当てで宣言を行い、実際には価格転嫁や適正取引に後ろ向きな企業もいる」(取引課)という。
今年3月の価格交渉促進月間に行った調査では、パートナーシップ構築宣言を行っているにもかかわらず、受注側の中小企業から価格転嫁や支払い手段の評価が低い発注側企業もあった。
また、宣言企業に受注側の企業が多いことも課題だという。宣言企業は10万社を超えたものの、資本金3億円以上の企業の伸びは鈍化している。中企庁は、価格転嫁や適正取引を主導する地域の大手企業への働き掛けを強める必要があるとしている。
