建築士試験が変わる(1)在学中の受験解禁、影響は

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 建築士の高齢化が急速に進んでいる。国土交通省の調べによると、60歳以上の1級建築士は、2008年に全体の12%だったが、24年には44%まで上昇した。建築士事務所に所属する建築士が今後30年で半減するとの推計もある。一方、建築士のみが業務に携わることを許された「業務独占資格」であるからこそ、建築士試験の難易度は高い。少子化で若年人口が減少している今、若い人材を呼び込むことは容易ではない。  特別国会の実質的な最終日となった7月24日、改正建築士法がようやく成立した。改正法では、大学・高専の学生が一定の単位を修め、最終学年で卒業の見込みがある場合、在学中に1級建築士試験を受験できるようにする。2級・木造建築士試験も、大学・高校の最終学年に受験できるようになる。  いずれも、合格者も免許登録までに必要な実務経験を満たす必要がある。2級建築士が1級建築士試験を受験する場合の受験資格も見直し、実務経験年数を2年に短縮する。  建設関係の他の国家資格でも、より若い人材が受験できるよう、受験資格の見直しが進んでいる。  1級技術検定では、第1次検定の学歴要件の廃止や実務経験年数の短縮により、19歳以上であれば受験資格を得られるようになった。電気工事士や測量士も、より若い人材に門戸を広げている。  1級建築士試験は、すでに20年試験から、受験時に求めていた実務経験を免許登録要件に変更したため、実務経験がなくても指定学科の卒業後に受験できる。新制度で4年制大学の最終学年で受験する場合、最短21歳での受験・合格も可能になる。  ただ、1級建築士試験は、建設系の国家資格の中でも最難関の資格だ。受験者の若年化が進んだ20年以降はさらにその傾向が強まり、総合合格率が10%に満たない年が増えた=グラフ参照。  大学生が1級建築士試験を受験するのであれば、大学2年時、3年時から独学で試験に備えるか、資格学校に通い、最終学年である大学4年の年に受験することになる。この時期は、授業やゼミ、卒業論文に加え、就職活動も重なり、学生生活で特に多忙な時期に当たる。さらに、社会人であれば資格学校の授業料などに充てられる所属企業の奨励金もない。  日本建築士会連合会、日本建築家協会とともに、建築士法改正を求めてきた日本建築士事務所協会連合会(日事連)の会員には、試験問題の見直しを求める声も強い。日事連は「今の試験は、建築士に求められる資質を適切にチェックできているのか」(脇山芳和専務理事)と、試験制度とともに試験問題の見直しも必要という立場だ。  総合資格の佐藤拓也社長は「若い世代の志向に合わせ、授業の一コマの時間を短縮したり、オンラインにもさらに対応する。企業や大学とも連携したい」と、新制度を見据えて学生向けサービスを強化する。  教育機関の反応は分かれている。今年6月、日本建築学会は「教育カリキュラムや大学の事務手続きに影響を及ぼすおそれがある」などとして、法改正に対する意見書をまとめ、国土交通省に提出した。小野田泰明会長は「(人手不足は)大学4年生に受験を認めるだけで解決する問題ではない。法改正を機会に産業界と学術界がこの問題に本格的に取り組む機会にすべきだ」と慎重な制度設計を求める。  その一方で、試験制度の見直しに合わせ、教育カリキュラムを見直して在学生の合格率を向上させ、入学者の増加につなげようという大学もある。学生に受験を認める新しい試験制度は、大学教育にも変化をもたらす可能性がある。 ◆  ◆  ◆  改正建築士法は公布から3年以内に施行されます。新しい試験制度について関係者に取材し、今後の建築士試験の受験動向について考える「建築士試験が変わる 次の世代を呼び込む」を連載します(毎週月曜日掲載)。