建滴 過去最大の概算要求 今こそ「施工余力」示すとき

中央
 各省庁による2027年度当初予算の概算要求は、総額140兆円超と過去最大規模になった。公共事業費も前年度比45・0%増の国土交通省をはじめ、大幅な増額要求とした。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権のカラーが色濃く反映された今回の予算編成過程は、国民の安全・安心や経済成長を支える公共事業費を増額し、近年の物価上昇で目減りしていた実質事業量を回復する重要な機会となる。  当初予算に盛り込まれる公共事業費は10年以上にわたり、ほぼ横ばいで推移している。国土強靱化関係の事業費は補正予算で措置されてきたが、建設業界は将来にわたる公共投資に予見性を持たせるためにも、当初予算での計上を求めてきた。  コロナ禍以降は資機材価格の高騰や労務費の上昇による実質的な事業量の目減りが指摘されるようになった。全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の調査では、公共工事の発注量減少が建設企業の経営を圧迫していることも示唆された。物価上昇分に対応した十分な事業量の確保は急務だ。  年末にかけて続く27年度当初予算の編成過程で、こうした建設業界の切実な声を反映する必要がある。高市政権は補正予算ありきの予算編成からの脱却を打ち出すとともに、概算要求に際して上限を設けない「『強く豊かな日本』投資枠」を新たに設けた。このタイミングを逃してはならない。  予算を査定する財務省はこれまでも、建設業界の人手不足のため、「公共事業の増大が民間工事や災害対応に悪影響をもたらす」と主張してきた。建設業界は、こうした誤解を払しょくし、十分に施工余力があることを改めて示す必要がある。  公共事業予算のうち、執行できずに国庫に返納される不用率は24年度時点で0・7%と極めて低い水準にある。国交省直轄工事の不調・不落発生率も、足元では3%台にとどまっている。施工余力が不足しているとの指摘は当たらない。必要なのは、適切な工期設定や施工時期の平準化など、施工余力を最大限活用するための工夫を地方自治体まで徹底させることだ。  建設業界にも、安全・安心な国土や経済成長の基盤整備を求める社会のニーズに対し、将来にわたって応え続けることが求められる。新規入職者を引きつける処遇改善と、生産性を最大限に高める体系的な教育訓練の実現に、業界を挙げて取り組まなくてはならない。