インフラ分野でAI実装方針 ASPに実装、中小に波及

中央
 国土交通省は、インフラ分野へのAI実装に向けた方針を決定した。各地方整備局にAI導入の推進体制を整えて直轄現場での活用を徹底するとともに、AIが学習するデータ基盤を構築する。2027年度には、直轄工事だけでなく、多数の地方自治体の発注工事でも利用されている受発注者間の情報共有システム(ASP)に対話型AIを搭載し、自治体工事を受注する地域の中小建設業にもAI活用を定着させる。  AIは人を置き換えるものではなく、「現場で働く人の能力を拡張させ、生産性向上を加速する」基盤と位置付ける。国が率先して現場でAIを活用し、自治体や民間に水平展開することを明記。AI学習用のデータの流通・蓄積に向けた環境整備を官民で推進する。  このため、生成AI活用推進チームを設置した近畿地整のように、各地整・事務所でAI導入の体制を整備する。現場にノウハウを蓄積できるように配慮しながら、人材育成にもAIを活用する。AIの利用範囲や条件を明確化し、セキュリティー体制を整備することも盛り込んだ。  現場活用の具体的な場面として、ASPにAIを実装させ、受発注者のコミュニケーションを円滑化する方針も打ち出した。ASPは既に直轄工事で原則適用されている他、全ての都道府県・政令市と256市町村が導入している。ASPを提供する民間ベンダーが参照する機能要件にAIを用いた対話機能を追加し、順次アップデートさせる。  これにより、受発注者が設計図書や工事関係書類について質問・回答する際、対話型AIの支援を受けられる。多くの自治体が利用するASPを入口として、元請けの地域建設業やその下請けのAI活用に弾みをつける。将来的には、ASPに書類の自動生成や計画と実績の差分検出、関連情報の整理といったAI機能も追加していく。  直轄事業でAIを活用するためのデータ基盤の確立も急ぐ。設計成果や工事完成図、BIM/CIMデータといった成果物について、PDF主体の納品形態を見直し、AIが参照・学習しやすい形式にする。成果物だけでなく、施工中のデータについても活用ルールを定める。