公共工事従事者の賃金確保 公契約条例101団体に
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公契約条例を制定・施行している地方自治体が、全国で101団体(8月時点)となったことが全国建設労働組合総連合(全建総連)の調査で分かった。特に、近年は公共工事の技能者をはじめとした労働者の賃金・労務報酬に下限額を設ける「賃金条項」を設けるタイプが増加。物価上昇や人口減少に伴って担い手確保が困難になっていることを背景に、適正な賃金を受発注者で確保する動きが加速している。
公契約条例は、公共工事や委託業務など自治体が民間企業に発注する「公契約」に従事する労働者を対象に、受発注者で適正な賃金・労務費の確保を規定するもの。「賃金条項」を設ける場合、自治体が公共工事設計労務単価などを踏まえて支払うべき賃金の下限額を規定するとともに、多くの自治体が賃金台帳の確認や不払いを理由とした契約解除を定めている。適用対象は一定額以上の工事に限定する団体が多い。
賃金条項のない理念的な条例は、山形県が2008年に全国で初めて制定。続けて、千葉県野田市が賃金条項ありの条例を整備した。その後5年間、条例を制定する団体は年間1~3団体程度だったが、14年ごろから8団体前後に急増。近年は特に、賃金条項を設けた条例を定める団体が多い=グラフ参照。
公契約条例は賃金を受け取る労働者だけでなく、元請けにもメリットが大きい。条例により労務費のダンピングが抑止されれば、入札時の低価格競争に歯止めが掛かる効果も期待される。コロナ禍以降、資機材価格や労務費の上昇が加速化する中で、適正な労務費確保や過当競争対策を求める建設業界の声が、近年の条例制定の後押しになっていると見られる。
25年末に全面施行した第3次担い手3法では、公契約条例に類似した制度が国内の全ての工事を対象に設けられた。改正法では「労務費の基準」が整備され、著しく低い労務費には罰則を規定。公共工事については、労務費ダンピング調査の原則実施も求めている。
ただし、改正法では公契約条例と異なり、法違反となる著しく低い労務費の具体的な額は示されていない。改正法はあくまで適切な労務費による建設工事の見積もりや請負契約を定めるもので、受発注者の合意を前提に下限額以上の賃金支払い義務を課す公契約条例とは性格が異なる。
直近では、東京都板橋区が新たに公契約条例の制定を検討しており、27年4月の施行を見込む。これにより、東京23区で公契約条例を制定済みの区は20団体となる。東京都や愛知県など大都市圏を中心に公契約条例の制定が進む中、地方にも同様の動きが波及することも予想される。
