西澤賢太郎氏(にしざわ・けんたろう)=国土交通省関東地方整備局長

東京【2026/10/06 東京版に掲載】
 8月7日付で関東地方整備局長に就任した西澤賢太郎氏=写真=が建設専門紙のインタビューに応じ、就任直後に8月の千葉豪雨や9月の台風25号に見舞われ、「気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化を現場のトップとして改めて痛感した」と話した。「人口が多く、経済規模が大きい関東の整備局長として重責を強く感じている」と語り、事後的な復旧から「予防的な対策(事前防災)」への転換を強く打ち出す。  関東管内では、令和元年東日本台風(2019年10月)を受けた緊急治水対策プロジェクトがおおむね完了時期を迎えているが、「これはあくまで事後的な対策にとどまる」と話す。河川整備計画の見直しを進める中では、利根川水系の「令和の大改修」をはじめ、治水安全度を高める予防的対策を進めていく方針だ。  近年頻発化する内水被害に対しても「下水道や地下河川の活用、ソフト対策も含め、関係機関と知恵を絞り対応していく」と示す。防災の基盤ともなる道路ネットワークでは、圏央道の千葉県内未開通区間の解消や茨城県内の4車線化といった節目を迎え、新湾岸道路などの計画段階プロジェクトの事業化に向けたマネジメントを着実に進める。  30年以上のキャリアを重ねてきた中で、特に印象深い出来事として挙げるのが、中国地方整備局岡山河川事務所長時代に手掛けた「小田川合流点付替え事業」。完成前に西日本豪雨(18年6~7月)が発生し、小田川などの堤防が決壊して甚大な被害が生じた。「地元との調整を経て計画を進めていたところだった。もう少し早くできていればという思いがあり、事業の早期完成や事前防災の重要性を身を持って感じた」と振り返る。  また、08年のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の創設時には、これに先立つ07年の概算要求で予算化に奔走。25年の災害対策基本法改正で組織が正式に法律へ位置付けられたことに感慨を深めるとともに、今回の千葉豪雨で関東地整から初派遣された予備隊員について「若手隊員への指導や技術継承を含め、現場支援で威力を発揮した」と手応えを語る。  職員に対しては、「ワンチームで粘り強く戦える組織になろう」と呼び掛ける。昔からの趣味のサッカーを引き合いに、「相手に対する敬意はもちろん、サッカーの精神と同じように、取り巻く全ての環境やパートナーにリスペクトを持つことが大切」と説く。  キャリアの原点はダム研究だった。旧建設省の土木研究所でコンクリートダムの堤体や品質、耐久性、施工性などを研究。全国各地のダムを回り、大規模な近代ダムから構造美、歴史的価値を持つダムまで、それぞれの魅力があると話す。建設業は「ダイナミックに国土を相手にして、安全で住みやすく活力ある地域にしていく。なくてはならない面白い仕事だ」と誇りとやりがいを込めて語った。  【略歴】94年京都大学大学院工学研究科(交通土木工学専攻)修了、同年建設省土木研究所ダム部ダム構造研究室(当時)。中国地方整備局岡山河川事務所長、内閣官房内閣参事官、関東地整企画部長、本省水管理・国土保全局河川計画課長などを経て8月から現職。56歳。広島県出身。