「労務費基準」運用状況確認 見積・支払実態を新規調査
中央
国土交通省は、改正建設業法に基づく「労務費の基準」の運用実態に関する調査に着手する。実際の見積もりに基準を反映した労務費を反映しているか、末端の技能者の賃金に労務費が行き渡らない要因、技能者の賃金支払いの状況についてアンケートやヒアリングを実施。2027年1~2月をめどに結果をまとめる。10月5日に開いた中央建設業審議会のワーキンググループで具体的な調査内容を示した=写真。
改正法で規定する労務費を内訳明示した見積もりなどの新たな商慣習の定着状況を把握し、今後の施策の参考とする。国土交通省の須藤明夫不動産・建設経済局長は「労務費に関する基準が現場でどの程度活用されているのか、活用が不十分ならどこに課題があるのか把握し、改善につなげていく」と調査の意義を説明した。
実態調査は、改正法に基づく労務費確保の取り組みが先行している鉄筋と型枠の2職種を対象とする。いずれも、適正な労務費として具体的な金額を示す「基準値」を既に定めており、労務費・経費を内訳明示した標準見積書も作成済みとなっている。
都道府県ごとに1社程度を選定し、2現場をめどに調査を実施。建設業者から、標準見積書の形式に沿った最終見積書を提出してもらい、補足的に施工条件などに関するアンケートも行う。公共工事設計労務単価や基準値で定める歩掛、基準値そのものと実際の見積もりに生じるずれを調べる。
発注者が支払った労務費が、末端の技能者に賃金として行き渡らない要因も調べる。デベロッパーによる大規模な民間建築とハウスメーカーによる民間住宅建築、都道府県発注の公共土木の3類型を設定し、それぞれ1件ずつの工事を調査する。
発注者と元請け、下請けに労務費の基準の認知度や、見積もり・価格交渉の経緯、労務費以外の経費の確保状況をヒアリングする。下請けには労務費と実際に支払う賃金の乖離(かいり)も聞く。設計・積算から見積もり、契約、精算の各段階でどのような課題があるか調べる。
技能者の年収に関する調査も実施する。左官工と内装工を対象とし、地域ブロックごとに複数社を選定し、賃金台帳や作業員台帳で所属する技能者の直近1年間の賃金を確認。建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収の標準値・目標値と見比べ、今後の処遇改善策の検討材料とする。
ワーキンググループでは、日本建設業連合会の白石一尚人材確保・育成部会長が、建築工事の当初設計で詳細を詰め切れず、手戻りが発生している実態を指摘。労務費が行き渡らない要因の調査では、最終的な施工図も参照し、労務費の支払い状況を把握する必要があるとした。
