AI時代の建設業(1) 加速する進化 現場に取り込む 生産性向上の恩恵は中小に

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国交省は9月、フィジカルAIを活用した未来の橋梁建設現場のイメージを公表した

 総務省の2025年調査で、相談・質問に答える生成AIサービスの利用経験がある個人が初めて過半数を超えた。AIが既に暮らしに溶け込む一方で、ビジネスでの活用状況は企業規模、業種によって大きな格差がある。中でも遅れが指摘されているのが建設業だ。現場作業のウエートが大きく、書類作業でも紙文化が根強く残る建設業は、本当にAI活用に向かないのだろうか。  「建設業を劇的に変えていく」。AIを積極導入している橋本組(静岡県焼津市)の橋本真典CEOは、厚生労働省のヒアリングでこう述べ、AIが建設業にもたらす生産性向上のインパクトを強調した。同社は工程表の作成や工事写真の整理、出来形管理など、これまで技術者の負担となってきた幅広い事務作業にAIを導入。時間外労働を大幅に減らすなどの効果も出てきているという。  AIを十分に活用できている地域建設業はまだまだ少ない。中小企業基盤整備機構が3月にまとめた中小企業のAI導入状況を見ると、建設業の導入率は15・9%で、運輸業に次いで2番目に低い水準だった=グラフ。中企庁は中小企業に共通の課題として、社内人材・ノウハウの不足を指摘している。  全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が4~5月に会員企業に対して行ったアンケートでも、業務でのAIの活用率は18・7%にとどまった。ただ、未活用の企業の62・6%は活用に「関心がある」と回答。全建は29年度までにAI活用率40%を目指す方針を表明しており、生産性向上だけでなく安全性向上や技術継承にも生かすとしている。  国土交通省も、建設業のAI活用を積極的に後押しする考えだ。インフラ分野のICT活用を担当する和田卓審議官はAIについて「大手だけでなく、地域の建設業にとっても大きな可能性を秘めている」と言い切る。人口減少による担い手不足が直撃する中小建設業でこそ、AIによる生産性向上の恩恵は大きい。  国交省は9月に公表した「インフラ分野のAI実装に向けた取り組み方針」で、発注者・インフラ管理者としてAIを率先して現場導入する姿勢を鮮明にした。象徴的な施策が、受発注者のやりとりに用いる情報共有システム(ASP)に対話型AIを搭載させることだ。  直轄工事だけでなく地方自治体の工事でも活用されるASPに実装することで、元請けの地域建設業やその下請けのAI活用に弾みをつける狙いがある。将来的には書類の自動生成や出来高の算出などの機能を追加し、書類作業でのAI活用を発注者として先導する。  建設業のAI活用で有望視されるのは、書類業務ばかりではない。国交省は8月、ロボットなどの「フィジカルAI」の導入戦略を策定。機械施工や鉄筋結束などの人力技能作業、現場内の資材運搬など、これまで人の手を使わざるを得なかった場面でもフィジカルAIを活用する。  国交省は近く、建設分野のフィジカルAIの具体化に向け、産学官によるコンソーシアムを立ち上げる。建設現場で活用可能なフィジカルAIの開発を急ぐとともに、フィジカルAIを活用しやすい現場や施工管理の在り方も検討していく。 ◆  ◆  ◆  建通新聞社では、爆発的に進化・普及が進むAIが、地域建設業にどのような変化をもたらすか取材し、連載します。活用の具体例や導入時の課題、将来の可能性を示し、「AI時代」の建設業の在り方を模索します。(毎週木曜日掲載)