日左連中国ブロック 押さえ作業考慮の適正な工期を 中国地整と意見交換
広島
あいさつする楠田建政部長(左)と若槻日左連中国ブロック会長
国土交通省中国地方整備局建政部と日本左官業組合連合会中国ブロック会(若槻一浩会長)は10月6日、意見交換会を広島市内で開いた。中国ブロック会は、コンクリート押さえ作業を考慮した適正な工期設定をはじめ、コンクリート強度を踏まえた施工単価設定などの要望を行うとともに、意見を交わした。
あいさつで、建政部の楠田勝彦部長は「地域の守り手として皆さんが安心して働き、誇りを持って次世代に技術を継承できる環境を整える」とし、「技能者の処遇改善をはじめとした制度の周知をはじめ、建設Gメンによる実地調査を通じて取引の適正化を強力に進めている」と述べた。
その上で「見積もりにおける適正な労務費の確保や必要経費の適切な積み上げなど、新たな商習慣の定着へご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
また、近年の記録的な猛暑に対し、「働き方改革は単なる労働時間の適正化にとどまらず、働く方のいのちと健康を守る取り組み」と強調。猛暑対策サポートパッケージについて、どの方法が各現場において最も適しているかなど、皆さんの意見を聞き、検証を進めていくのが重要だと話した。
日左連中国ブロック会の若槻会長は「業界では深刻な人手不足に加え、工期を第一とする従来の慣習が、なお強く残っている」と述べた。
続けて「昨年、また今年も猛暑の中での作業が当たり前となり、現場では熱中症対策や安全の確保に細心の注意を払いつつ、施工を続ける毎日」とし、「社会基盤を支える職人の姿は敬意を集めているものの、就職活動を行う若者には、ぜひ働いてみたいという魅力的な職場として映りにくい」のが現状だと訴えた。
標準労務費は、職人の給与引き上げにつながる重要な仕組みであり、十分な効果を発揮させるためには、業界の構造改革が欠かせないと指摘。「単なる安さではなく、職人を適切に処遇する企業が正当に選ばれる環境を整える必要がある」とした。
その上で、週休2日制や月給制の導入、賃上げなどの動きは着実に広まっているとしつつ、「世界の基準と比べるとまだまだ改善の余地がある。将来を担う人材を確保し続けるためにも、さらなる取り組みが求められる」と、あいさつした。
■中国ブロック会の要望事項と中国地整の回答
意見交換で、中国ブロック会は▽コンクリート押さえ作業を考慮した適正な工期・工期設定▽業界全体での統一的な熱中症対策▽コンクリート強度を踏まえた施工単価設定の働き掛け▽中小元請・民間工事を含めたCCUSカードリーダーの設置普及―の四つを要望事項に挙げた。
■コンクリート押さえ作業
押さえ作業は、コンクリート打設終了から夏季でおおむね3~4時間、冬季でおおむね6~8時間を要するため、左官工事に長時間労働が集中する可能性があるとした。
高齢化・人手不足下で、交代要員の確保には限界があるため、専門工事業者の努力だけでは難しい課題だと問題提起。
具体的には、押さえ作業までを含めた工程の明確化、勤務間インターバル(原則11時間以上)を踏まえた労務計画などを発注者・元請事業者に周知・実践するよう求めた。
中国地整は、土木工事は実態調査により、鏡面仕上げを考慮した作業日当たり標準作業量を設定していると回答。今後、実態把握をした上で歩掛や標準作業量に反映していきたいとした。
営繕工事は、コンクリートの仕様や気象条件により、作業時間が変動する特性がある点を認識していると説明。
押さえ作業に関する勤務間インターバルの確保や、時間外労働の縮減の観点を含め、引き続き実態把握に努めるとともに、受発注者間協議に当たり、適正な工程設定や施工条件の改善に向けた取り組みの参考にすると回答した。
建設産業課は、著しく時間外労働が発生する場合は、業法の趣旨を踏まえ改善する必要があると回答。民間工事への周知に関しては、各県労働局と協力して引き続き行っていくとした。建設Gメンは工期についても調査しているとも答えた。
中国ブロック会は、中国地整の回答に対し、民間工事では生コン工場が少なくなっていることもあり、指定日しか打設ができないと元請事業者から説明される現状を述べ、関係者への周知を求めた。
中国地整は、一歩ずつ解決していかねばならないのは本省も含め認識しているとした。
■統一的な熱中症対策
ゼネコンは▽始業時間を午前7時▽昼休憩を2~3時間とり最も暑い時間帯の作業を避ける▽WBGTによる作業中止基準の作成―など独自の熱中症対策に取り組んでいる。
中国ブロック会が課題とするのは、現場によって労働環境が異なるため、労働者間で不公平感が発生する点を挙げた。また、コンクリート打設~押さえ作業では、休憩時間や作業中止基準が実務上できない点もある。
そこで、業界全体として熱中症対策のルール策定を要望した。
中国地整は、企画部が猛暑対策サポートパッケージに基づき、現場に即した対策が得られるよう、猛暑時間の施工回避など、さまざまな取り組みに着手したところと説明。また、猛暑期間を休工とする試行工事の結果を踏まえて、業界の意見を聞きながら検証を進めるとともに、取り組みの拡大を図っていくと答えた。
営繕部は、本年度から受発注者間の協議による猛暑期間、猛暑時間帯の施工回避などの取り組みを始めたことなどを説明。また、工種や工程の特性上、現場ごとの作業時間の変更や一律の運用が難しい場合があることも認識していると答えた。意見については、官庁営繕部の猛暑対策の取り組みや、制度運用の動向を注視する上での参考にするとした。
中国ブロック会は、専門工事業者は一つの現場だけに入っている訳でない点を指摘。技能者の不公平感をなくすためには猛暑期は休工しかないのではとの考えを述べた。
中国地整は、熱中症対策は切実な要望として他団体から受けているだけでなく、本省も認識していると説明。中国ブロック会からの意見は本省にも伝えると答えた。
■CCUSカードリーダーの設置普及
建設産業専門団体連合会の調査では、カードリーダーが設置されていた現場の割合は、「20%未満」が28%、「ゼロ%」が13%と、前年度調査からは改善しているものの、依然として地方でのカードリーダー設置、導入が遅れていると指摘。レベル別最低年収の達成や建退共との連携で、CCUSの役割は不可欠だとし、中小元請、民間工事を含めたカードリーダーの設置普及を要望した。
中国地整は、現場にカードリーダーがないという意見が多く寄せられているとし、カードリーダーを置くメリットや事務手続きについて、建設業振興基金と協力してセミナーを広島で開催する取り組みを紹介。意見は施策に反映していきたいと答えた。
