ニュースの論点 物価上昇局面で重い予算制約 採算性悪化への懸念強く
中央
年末の閣議決定に向け、政府の2027年度当初予算案の編成が進んでいる。補正予算依存からの脱却やシーリングの廃止により、各省庁の概算要求は過去最大の規模となったが、今の段階で高市内閣の予算編成改革が公共事業予算に与える影響を見通すことはできない。限られた予算を振り向けるべきなのは、公共事業の量(工事件数)なのか、それとも質(採算性の確保)なのか―。
2020年代に入り、建設コストは2~3割上昇したが、政府の公共事業予算はコスト上昇分をカバーできていない。個別工事に物価上昇分を反映しないと受注者の採算性が悪化するが、予算に制限があるために物価上昇分を反映すると工事件数が減少する。
入札不調・不落が発生しないよう、今は個別工事で物価上昇分の反映を優先する発注者が多いが、そのことが工事件数の減少を招いている。
建通新聞電子版が政府の27年度当初予算の編成で「物価上昇への対応(採算性の改善)」と「発注件数の増加」のどちらを優先すべきか聞いたところ、回答者の57・9%が物価上昇への対応、36・8%が工事件数の増加を選んだ(その他は5・3%)=グラフ参照。
物価上昇への対応を優先すべき理由としては「発注件数が増えても人(技術者、技能者)の数に応じた受注しかできない」(事務職)と、人手不足を理由に挙げる回答者がいた。「工事の細分化が進んでいるので経費率が悪くなる」(経営者)といった声もあった。
公共工事では、スライド条項の活用や契約変更によって、契約後に物価上昇を契約に反映する仕組みは整ってきたが、当初契約が受注者の採算性を大きく左右することに変わりはない。民間工事を主体とする技術者からは「新築工事は大型化するとともに、働き方改革の影響もあり、工期が長くなっている」として、「受注時の金額では到底成り立たない」との指摘もあった。
一方、工事件数の増加を求める経営者は「採算性の確保は企業のノウハウなどで対応できるが、発注件数は官公庁に委ねられているため、受注者側では対応できない」と訴えている。工事件数の減少によって「若手技術者・技能者が現場経験を積む機会が減っている」(営業職)と、技術・技能の継承に懸念を持つ回答者もいた。
「その他」を選択した技術者は、「工事の打ち切りや未払いの工種が発生しないよう、受発注者が予算の執行管理を適切に行うべき」と主張。「これを実行すれば件数か採算性かの二者択一にはならない」と続けた。
