関東地整 大磯邸園の整備、西園寺公望邸跡を公開

東京

温室付近の建物外観。隣接する居間と食堂には温室を望むピクチャーウインドーが設けられている

 国土交通省関東地方整備局は、明治記念大磯邸園(神奈川県大磯町)の整備事業の一環で改修を進めている「西園寺公望別邸跡(旧池田成彬邸)」を報道陣に公開した。邸園内に四つある邸宅の一つで、工事は最終段階。他の3邸宅のうち二つは改修を終え、残る一つも工事が進んでいる。2028年度の全面開園を予定している。  西園寺公望別邸跡は、内閣総理大臣を務めた西園寺公望が1899年に別荘「隣荘」を構えた地。1917年に三井財閥の重鎮で、後に日本銀行総裁や大蔵大臣を歴任した池田成彬が引き継いだ。  現在の建物は曾禰中條建築事務所の設計、竹中工務店の施工によって32年に建てられた鉄筋コンクリート造地下1階地上2階建て延べ約799平方㍍の洋館。昭和初期には数少ない全洋式の邸宅で、南国風の温室を抱えるように居間などを配置しているのが特徴だ。  表面を木目調に仕上げたコンクリートの大梁を架け、石炭ボイラーによるセントラルヒーティングや部屋ごとに使用人呼び出しボタンを備えるなど、当時としては最先端の建築技術や設備を取り入れている。  その歴史的・建築的価値から2021年に大磯町の有形文化財に指定された。  改修工事は安藤ハザマが担当。安全性を考慮してガラス天井に保護・補強を施した他、写真データを元に色合いを何度も微調整して壁紙を復元するなど、創建時の雰囲気を損なわないよう修復した。本年8月に建物本体の改修を終え、現在は家具の搬入や展示・内装の仕上げが進められている。  カフェ・レストランや宿泊体験施設としての利活用に向け、27年度に民間事業者から企画提案を募る計画だ。   ~改修済みの2邸宅を暫定公開中~  明治記念大磯邸園の整備事業は、明治期の立憲政治の確立などに関する歴史的遺産を一体的に保存・活用するため17年度にスタートした。約6・3㌶ある計画区域のうち、関東地整は約3・6㌶のエリアで主要な歴史的建造物群の保存・修復・整備などを進めている。大磯町は約2・7㌶のエリアで松林や広場、地域交流スペースの整備などを手掛けている。総事業費は約269億円。  四つある邸宅のうち「陸奥宗光別邸跡・旧古河別邸」と「旧大隈重信邸・旧古河別邸」は改修工事を完了し、24年11月から暫定公開している。入園料は無料。今回報道陣に公開した「西園寺公望別邸跡(旧池田成彬邸)」と、別の工事で改修中の「旧滄浪閣(伊藤博文邸跡・旧李王家別邸)」を含め、全ての工事を27年度に完了させる予定だ。  事業を所管する国交省国営昭和記念公園事務所の辻本慎太郎所長は、「大磯は明治の総理大臣8人が邸宅を構え、少人数で国家の重要な決め事が行われてきた『政界の奥座敷』と呼ばれる場所。来園者には歴史を感じ、学びながら、より大磯のことを好きになってもらいたい」と全面開園に向けた思いを語った。