新3K知っていますか(3) マイクラで知る建設の魅力

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24年度の県知事賞受賞作品。ロックシェッドや法面も精密に再現した

 全国の小学生・中学生・高校生3000人が回答した第一生命保険のアンケートで、小学生男子と中学生男子のなりたい職業のトップ10に建築士が入った=表参照。会社員や公務員といった堅実な職業から、野球選手やサッカー選手といったプロスポーツ選手が並ぶこのランキングになぜ建築士が入ったのか。その背景には、人気ゲーム「マインクラフト」の影響があるという。  マインクラフトでは、3Dのブロックでゲームの世界が形づくられている。プレーヤーはブロックを壊してさまざまな素材を手に入れ、その素材から独自の建物や家具、構造物を造ることができる。創造性の高さから教育的な価値も認められ、プログラミングが必修になった学校教育の現場では、このゲームを授業に取り入れる学校もある。  高校生男子のなりたい職業でも、前回・前々回の調査で建築士が上位に入っており、第一生命保険では、ユーザー数が世界1億6000万人以上に上るマインクラフトの影響があるとみている。  建通新聞社が4月に行ったアンケート調査でも、「マインクラフトの影響で子どもが家を建てる仕事に興味を持っている。やってみたいと本人が思うのであれば応援したい」(40歳代、女性)といった回答があるなど、人気ゲームを切り口に建設の仕事への関心が広がっていることが分かる。 ■千葉県がコンテスト開催  このゲームを通じて若い世代に建設業やものづくりの魅力を伝えようという試みも始まっている。  千葉県が主催する「千葉県マインクラフトコンテスト」では、県内在住の小中学生を対象として、マインクラフトで造った優秀な作品を表彰している。2024年度は、マインクラフトで県内の土木構造物や建築物を再現する「課題部門」、二つの都市を道路・橋梁・トンネルでつなぐルートを作成する「チャレンジ部門」で作品を募集し、168作品の応募があった。  チャレンジ部門で県知事賞を受賞した小学生の作品は、都市と都市を結ぶ道路をトンネルで結び、土砂崩れ対策として法面対策を講じたり、落石対策としてロックシェッドを配置するなど、道路附属物も細かく再現した。主催する県県土整備部建設・不動産業課は「参加者からは、普段あまり接することのないインフラの構造を知ることができたという声が寄せられている。建設業の仕事を知る機会にもなっている」と話す。  千葉県は25年度もコンテストを開催する予定で、建設・不動産業課では「5年、10年続く息の長いイベントにしたい」と考えている。 ■プロセスにある魅力 いかに伝えるか  建設業で働く40歳以上の世代には、1990年に日本でも発売されたシミュレーションゲーム「シムシティー」が建設業に関心を持つきっかけになった人もいるだろう。世代に関わらず、ゲームやアニメを入り口として、職業のイメージが形作られることは多い。  建通新聞社が行ったアンケート調査に対し、建設業のイメージを悪い・とても悪いと回答した親世代には、「労働環境が悪い」「ガラが悪い」「危険」「現場で働く人の当たりが強い」といった3Kのイメージが強く残っている。  しかし、親世代に色濃い3Kのイメージも、小中学生にはまだ根付いていない。子どもたちの身の回りにも、建設業が手がけ、完成させた多くの建築物やインフラがある。ただ、それらのインフラや建築物が、誰の手で、どのように造られたのか、というプロセスに関心を持ってくれる人はそれほど多くはない。  マインクラフトでの疑似体験を通じ、子どもたちは、建設のプロセスに興味を抱いてくれている。プロセスを知ってもらう機会をいかに提供するのかが、建設業の魅力を伝える近道になるのではないだろうか。