こんな暑さで働けない! 変形労働時間制で解決するの?

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Q.9月だっていうのにまだまだ暑いよ。 P.今年の6~8月の全国の平均気温は平年を2・36度上回り、1898年の統計開始以降で最も高くなったんだよ。9月も全国で気温35度を超える猛暑日が続いたよね。ようやく30度を下回ってきたとは言え、屋外で働く人たちにとっては、まだまだ熱中症に注意が必要だね。 Q.これだけ暑いのだから、夏場の働く時間を短くできないの? P.今年6月、厚生労働省と国土交通省は、猛暑や雪の多い地域で「変形労働時間制」を採用するよう、全国の建設業に呼び掛けました。変形労働時間制は、1年間の平均労働時間が、労働基準法で決められている1週間当たりの労働時間(40時間)となる範囲で、繁忙期に長い労働時間、閑散期に短い労働時間を設定できる仕組みです。  気温が上昇する夏の労働時間を短くし、それ以外の時期の労働時間を長くすれば、屋外で働く建設業の酷暑対策にもなると考えられています。 Q.何のためにこんな仕組みがあるの? P.仕事の繁閑の波が大きい業種、例えば、旅館業では、変形労働時間制が以前から使われています。今はインバウンド需要で1年を通じて忙しい旅館業ですが、かつては年末・年始や夏に旅行客が集中したため、この仕組みが使われたそうです。経営者にとっては、繁忙期の所定労働時間を長くできるため、残業代を抑える効果もあります。 Q.どうすれば変形労働時間制を採用できるの? P.1年単位で変形労働時間制を導入するためには、あらかじめ労使協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。その際、年間の「勤務カレンダー」を定めなくてはいけません。カレンダーの作成には、労働日数などにルールが設けられていますので、詳しくは上の表を見てください。 Q.この制度を導入する建設会社はあるの? P.夜間施工の多い鉄道工事などはこの制度を取り入れていますが、受注産業の建設業は、繁閑の波が読みにくく、本来は制度を使いやすい業種とは言えません。ただし、気温が上昇する夏季の労働時間を短くする目的であれば、この制度を使う機会は増えるかもしれません。  一方で、日給月給の労働者にとっては、この制度によって夏季の給与が極端に減る恐れもあります。現場で働く労働者の立場に立てば、変形労働時間制は、1日の労働時間に給与が左右されない月給制とする必要もあるでしょう。