データでたどる技術検定(3) 土木の受験者数、03年度の8割 市場規模が増減に影響

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 1級第1次検定(2020年度まで学科試験)の受験者数の変動は種目によって異なる。民間工事の市場が大きい「建築」「電気工事」「管工事」は、2024年度の受験要件見直しによって20年前の受験者数を超えたが、公共工事が市場の大半を占める「土木」の受験者数は03年度の8割にとどまる。民間建設投資は当時の1・6倍に増加しているが、政府投資は1・07倍と大きく変わっておらず、市場規模の変動も受験者数に影響していることも考えられる。  1級土木の受験者数は、公共事業費が縮小していた2000年代に大きく減少。03年度に6万5565人だった当時の学科試験の受験者数は09年度に3万4241人と3万人以上減った。  建築・電気工事・管工事の受験者数も00年代は減少傾向にあったものの、減少幅は土木に比べると小さい。00年代の民間建設投資は、リーマンショックの発生した08年度まで上昇局面にあり、施工管理技士の有資格者に対するニーズも高かった。  ただ、土木の受験者数は緩やかな減少傾向を続け、18年度には初めて3万人を割り込んだ。少子高齢化によって建設業就業者の高齢化が進む一方、数少ない若年層も実務経験を積まないと受験資格を得られず、そのことが受験者数の減少、さらには就業者数の減少にもつながっている。  一方、技術検定の受験者数の増加は、試験制度の見直しによっても大きく変動する。  19年度に30年ぶりに新設された「電気通信工事」は、全体の受験者数の増加を押し上げた。それまで国家資格のない電気通信工事の技術者は、長い実務経験を経ないと監理技術者・主任技術者の資格を取得できなかった。初年度の電気通信工事の1級学科試験は、受験者数が1万人を超え、資格取得への高いニーズがあることを証明した。  24年度は受験資格から学歴・実務経験を受験要件から廃止したことを受け、受験者数は▽土木55・5%増▽建築56・4%増▽電気工事47・1%増▽管工事55・0%増―と軒並み大幅に増加している。  ただ、25年度の1級第1次検定で建築・電気工事・管工事の3種目の受験者数が引き続き前年度を上回った一方、土木は6・8%の減少へと転じた。受験資格の大幅な緩和により、2級技術検定を経ずに1級技術検定を受験する若年層が増えており、特に1級土木の受験者数にこうした影響が顕著に出ている。