知りたい 防衛施設の強靱化(5)隊員の生活環境改善 防衛力強化の担い手確保

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 戦後最も厳しく、複雑な安全保障環境にあると言われる中、防衛力強化の担い手となる自衛隊員の定員割れが続いている。2024年度末時点で、24・7万人の定員に対し、実員は約22万人。防衛省は、自衛隊員の確保を最重要課題と位置付け、対策の一つとして、自衛隊員が日々過ごす隊舎や庁舎の強靱化による生活勤務環境の改善に本腰を入れている。  戦略3文書の一つ、「国家防衛戦略」では、全ての隊員が高い士気と誇りを持ち、個々の能力を十分に発揮できる環境整備の必要性が明記されており、防衛施設の強靱化はその基盤を支える役割を担っている。老朽化した既存施設の更新を進めれば、隊員が任務に専念できる環境の整備につながるためだ。  特に、隊員が1日の多くの時間を過ごす隊舎や庁舎は迅速に建て替え・改修を進める必要がある。23~25年度(当初予算)には約7300億円の予算が充てられ、旧耐震基準の施設から優先的な整備を進めている。旧耐震基準の施設約1400棟のうち、25年度末までに約700棟の建て替え・改修に着手する見通しだという。  隊舎の建て替え・改修に当たっては、単に従前の施設機能を維持するのではなく、若い世代のライフスタイルに合った生活勤務環境に改善しなければならない。その最たるものが居室の完全個室化だ。これまで一部屋を2~3人の隊員でシェアしていたが、階級に関わらず居室面積を15平方㍍とする方針を決めた。陸上自衛隊では25年度、海上・航空自衛隊では28年度までに個室化を完了させる計画だ。  個室は、共用の水回りを備えた「Aタイプ」と、室内にユニットバスやシャワーを併設する「Bタイプ」の2種類とする。教育部隊などでは、隊の方針により30平方㍍の部屋を2人で使用する相部屋も残るが、この場合でも、必要に応じて簡易間仕切りで分割できる仕組みとする。  また、隊舎の共用部も改善する。洗面台の増設の他、増加傾向にある女性隊員が快適に使用できる女性用の区画も整備する。エントランス、キッチン、各居室には木材を積極的に取り入れ、無機質だった従来の隊舎から、ホテルを想起させる快適な空間へと転換する。  駐屯地の外にあり、家族を持つ隊員や、異動が多い隊員が住む宿舎も、25年度末までに約9000戸で建て替えと大規模・中規模改修に着手する。  防衛省は、「防衛施設の強靱化は単なるインフラにとどまらず、自衛官の人材確保や能力・士気の向上に貢献している」(防衛省整備計画局施設計画課)と話す。