解説 労務費の基準(10)Gメンの情報収集体制拡充 著しく低い労務費は指示処分

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 「見積書に記載した労務費を一方的に減額された」。建設業者から、こうした建設業法違反が疑われる事態の相談を受け付け、建設Gメンの調査・行政指導につなげるため、国土交通省は建設業法関係の通報窓口「駆け込みホットライン」を大幅に拡充した。「労務費の基準」に照らして著しく低い労務費での見積もりや下請けへの変更依頼を行った建設業者には、拘束力のある「指示処分」が科される。  従来、駆け込みホットラインには年間約2000件の通報が寄せられていた。今後は、改正法で著しく低い労務費による見積もりや受注者による原価割れ契約が新たに禁止されたことで、通報量の増加も想定される。  国交省は、限られた建設Gメンの人員を有効に活用するため、従来の電話対応だけでなく、自動音声応答やオンラインの「駆け込みホットライン情報収集フォーム」を新設した。電話以外の窓口を設けることで通報のハードルを下げるとともに、簡易な質問で最適な通報・相談先を選択できる「建設業相談窓口ナビ」なども活用し、労務費ダンピングの疑いのある事例を効果的に抽出する。  さらに、適正な賃金を支払われていないと感じている建設技能者から、通報を直接受け付けるシステムを構築する。注文者(発注者・元請け・上位下請け)と受注者との間でやりとりされる労務費だけでなく、最終的に技能者が受けとる賃金についても適正に行き渡るよう、調査できる体制を整備し、規制の実効性を確保する。  現行では、建設Gメンが請負契約に計上される労務費を調査することはできても、技能者が最終的に受けとる賃金を確認する手段はない。新たに構築するシステムには、技能者が給与明細に記載の給与や労働時間を自己申告することで、必要に応じて雇用主やその取引先に助言、指導を行えるようにするイメージだ。26年度に基本的なシステムの仕組みを検討し、27年度以降に整備する。  建設Gメンは、駆け込みホットラインや情報収集フォーム、新設する技能者の賃金通報システムで寄せられた情報を端緒に、法違反が疑われる事業者の詳細調査を行う。労務費の金額やその積算根拠、当初・最終見積書の比較などを通じて把握した注文者と受注者の協議の経過などを基に、指導・監督の必要性を判断する。  建設業者に対する監督処分基準では、著しく低い労務費での見積もり・見積もり依頼や原価割れ契約について、指示処分を科すこととした。指示処分を受けると、社内研修や改善計画の提出といった対応を求め、社名も公表する。処分に従わなかったり、類似の法違反を繰り替えす場合は営業停止処分を科す。