知りたい 防衛施設の強靱化(6)防衛省のカウンターパートに 入札参加の障壁取り除く

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防衛施設強靱化推進協会 乘京正弘会長

 2024年5月に発足した防衛施設強靱化推進協会は、防衛予算の急激な増加に合わせ、〝防衛省のカウンターパート〟としての地位を急速に確立している。乘京正弘会長は、「意見交換会というオープンな場で、防衛省と建設業界の橋渡しをすることで、地域の建設業が入札に参加しやすくなり、防衛施設を強靱化する意義も理解してもらえる」と協会の存在意義を語る。  協会の会員数は設立から1年8カ月で410社(うち支部会員253社)まで増加し、地域の実情を防衛省に届ける体制が整いつつある。25年12月に開かれた沖縄支部と沖縄防衛局の意見交換会には乘京会長も出席。米軍基地内の工事を受注する沖縄支部の会員企業から、「本部からは見えない、現場の本音が聞けた」と振り返る。  意見交換会では、入札契約制度や工期設定などの課題を整理し、防衛省に改善を求めている。設立からすでに6回、3月末までにさらに2回開催する予定だ。乘京会長は、「防衛省が要望を真摯に受け止め、さまざまな制度を変えてくれたのは、非常に大きな進展だ」とその成果を強調する。  協会の活動は意見交換会の開催だけではない。防衛施設整備に関する知見や実績のある技術者を適正に評価するための資格制度の創設も進めている。防衛施設建設工事に係る技術や諸制度、部隊との調整方法など、防衛省の工事・業務の受注者に求められる知識を講習会で学んでもらい、理解度を確認する試験の合格者に資格を付与する。  資格制度は、防衛省の工事・業務を受注したことのない企業にとって、知識習得の機会となり、新規参入の障壁を下げることにもつながる。乘京会長は、「地方での工事は、地域の建設業も参画しなければ円滑な施工を確保できない」と資格制度の必要性を指摘する。  適合品等登録システムも開発中だ。防衛省の工事で使用している資機材の実績や特性などをまとめ、設計者、ゼネコンに提供する。 また、大規模な災害で防衛施設が被害を受けた際、復旧を支援するための協定を支部と地方防衛局との間で年度内にも結ぶ考えだ。災害時でも自衛隊員が救助活動などに専念できる体制を整えるのが狙い。  乘京会長は、防衛施設の強靱化について、「国を守るために必要な施設であることを理解した上で施工すべきだ」と主張。会員企業を対象に、開いている講演会や講習会、防衛施設の見学会では、それぞれの施設が担う役割や強靱化の意義への理解を深めてもらう。  建設業は長年、インフラ整備を通じて国民の安全・安心を支えてきた。乘京会長は、防衛施設の強靱化もその延長線上にあると考えている。そのためにも、「入札参加の障壁を早急に取り除き、建設業界が防衛力向上のために力を発揮できる環境を整えたい」と力を込める。(この連載 おわり)