東北アライアンス建設(下)協力会社・異業種と「対等」連携
中央
東北アライアンス建設(TAC)は今年2月、異業種6社との戦略的パートナーシップ協定を締結するとともに、TAC構成会社の協力会社群による「東北トラスティア事業協同組合」の設立計画を打ち出した。隂山正弘代表取締役社長は、従来の元下関係のような縦の関係と異なり、TAC・事業協同組合・異業種パートナー企業の3者が対等な連携関係を築くことで、「建設業の新たな可能性を切り開ける拓ける」と力を込める。
TACにはみずほ銀行も出資している。隂山氏は「協業や業界課題の解決に向けてさまざまな業種に支援・参画してほしいという思いから、みずほ銀行にも参画してもらった」と説明する。
TACが異業種6社と締結した戦略的パートナーシップ協定では、こうした思いが結実した。製造や金融、物流、DXなど多様な技術・知見を備えた企業との連携により、担い手不足や資材価格の高騰、施工の高度化といった建設業界共通の課題解決を目指す。
例えば、パートナー企業のうちデジタル技術を活用した施工管理の最適化に取り組むEARTHBRAINとの連携では、TACを構成する各社の現場を実証フィールドに活用することを想定。個社が別々に新技術に挑戦するのではなく、実証で有効性を確認した新技術を各社に一気に横展開する。隂山氏は「東北地方の建設業全体のデジタル化も底上げされる」と期待を寄せる。
TACは実証フィールドを提供するだけでなく、意見交換などの形で元請け目線の要望もフィードバックする。「戦略的パートナーシップ協定の先には、業務提携のような次の段階もあり得る」と隂山氏は先を見据える。パートナー企業のさらなる拡大に向けた協議も進んでいるという。
事業協同組合の設立計画も大きな注目を集めた。TACの構成会社の協力会に入っている企業から参加を募る想定だったが、外部企業からも問い合わせがあったという。
現時点では、事業協同組合がTACの仕事を受注することは念頭に置いていない。主な活動には、物価高に対応するための共同購入を想定。パートナー企業には鋼材の加工・流通・販売を手掛けるメタルワンも名を連ねており、資材の安定供給のために連携する可能性もある。
規模の小さな専門工事業も、事業協同組合に集まることで積極的な投資が可能になる。パートナー企業の協力があれば、その活動の幅はますます広がる。例えば、パートナー企業のコマツが開発した建設機械を事業協同組合が購入し、ファイナンスをみずほリースに補ってもらい、組合員企業が実際に現場でPoC(試行実証)するような体制も可能になる。
人材の確保や育成、事業承継といった場面でも事業協同組合とパートナーシップ協定の相乗効果を生かす。隂山氏は「一方的に何かしてあげる、してもらうという関係ではなく、TACとパートナー企業、事業協同組合の並列型パートナーシップが重要になる」と強調する。
TACの活動は、地域建設業の新たな挑戦のモデルとして東北以外からの関心も高い。隂山氏は「今、私のリソースは9割方TACに振っているような状態。そのぐらい振り切る人が中にいないと、こうした活動は前に進まない」と説く。隂山氏が構成各社に呼び掛けてからTACの設立までには半年もかからなかった。「普通だと2、3年かけるかもしれないが、このスピード感を大事にしたい」
