油性塗料・シンナー不足が深刻化 マンション大規模修繕への影響

中部
 中東情勢を背景にした資材不足の影響が特に大きいのが、マンションの大規模修繕。塗装の他、防水やシーリングなどにナフサを原料とした資材が多く使用されている。  資材の確保状況には、企業間で差があるものの、全体的には「苦慮している」企業が多い。着工済みの案件については「すでに足場を組んでいるため、工期の延伸が難しい。さまざまな手を打って、なんとか対応している」ようだが、資材確保の見通しが立たず、価格が高騰している状況から「(新たな案件の)見積もりが出せない」状況にあるようだ。  発注を支援する設計・監理コンサルタント団体も、資材メーカーの切り替えなどの対応を進めているが、積算や施工者の選定に苦慮している。管理組合という発注者の特性から、マンション大規模修繕の施工者選定には透明性が求められ、総会承認など手続きに一定の期間が必要となる。資材の在庫や価格が不透明な状況では、選定手続きが停滞し、予算と手間の両面で管理組合の負担が増える可能性が高い。  さらに、選定手続きが混乱する中で、安易な発注が行われれば、工事品質の低下や、区分所有者の無関心が進む懸念もある。現在、官民一体となって不適切業者の排除に乗り出しているが、資材不足がこの取り組みに影を落とす可能性もありそうだ。 【担い手確保を頓挫させないために】  材工一式の受注が多く、中小企業の割合が高い塗装業界にとって、今回の問題は企業経営に与える影響が大きい。特に一次下請を担う企業へは、大きなダメージを与えることが予想される。前述の大規模修繕の問題でも、市場の適正化が遅れれば、悪貨が良貨を駆逐する悪循環に陥るだろう。日塗装が警鐘を鳴らしている通り、技術を持つ職人・企業という「担い手」の確保にとっても重大な危機だ。  さらに、塗装関係団体が人材育成を目的に実施している検定では、受験者に配布する資材の確保の見通しが立っていないという話もある。さまざまな形で、業界を揺るがす今回の問題。行政には、サプライチェーンの課題解決だけでなく、現在の状況が多くの人に理解されるよう、丁寧な情報周知を期待したい。