油性塗料・シンナー不足が深刻化 中部3県への影響

中部
 中東情勢の影響が、建設業界で顕在化している。4月初旬に塗料メーカー各社が、ナフサを原料とする塗料やシンナー製品を対象に出荷制限や新規注文の停止、価格の改定を発表。養生材やマスキングテープなどビニール製品に購入制限をかける販売店も出てきた。これを受けて、日本塗装工業会(日塗装)は、4月7日に国土交通省に現状を説明。14日には、塗料原料の安定供給や価格高騰への対応、工期延長への配慮などを求める緊急要望を提出している。  中部3県の塗装業関係団体に話を聞くと、愛知県では「(それまでも兆候はあったが)4月8日ごろから影響が大きくなった」という。事前に注文していた塗料も、全量が納品されない可能性が高くなり、工程の見直しを迫られる工事も出てきた。  岐阜県では、油性塗料、シンナーともに確保が難しいというよりも「ほぼ確保できない」状況。「塗料販売店にシンナー5缶を依頼し、1缶確保できればいい方」で、「特に鉄骨の錆止めに使う油性塗料が深刻」だという。三重県も、3月の下旬から品不足になり、「4月上旬からは、ほぼない」状況。材料やメーカーに問い合わせても「納期未定の返答しかない」ようだ。  日塗装の加藤憲利会長は、国交省への緊急要望に併せて開いた会見で、この状況を「塗装業者にとって死活問題」 と表現。価格高騰や工事遅延のペナルティー、受注できない状況などで、経営が継続できなくなれば、職人が離職し、さらなる人手不足につながることに強い懸念を示した。  有機溶剤(シンナー)で樹脂を溶かした溶剤系塗料は、耐久性・対候性に優れ、橋梁をはじめとしたインフラ系の工事に多く使われている。中部3県で明確に中止となった案件は確認できていないが、現在の状況が続けば、中止が発生する可能性は高い。未着工や、これから発注される案件についても、「(先を見通すことができず)ゴールデンウィーク前後には着工できなくなる可能性が高い」との見方が出ている。  国土交通省は、この状況を踏まえ、WEB上に中東情勢に関わるワンストップポータルを設け、情報提供や相談に対応する体制を整備した。さらに、4月10日に開いた幹部会議では、金子恭之国交相が、複雑なサプライチェーンで供給されているシンナーについて、「経済産業省と連携し、流通の目詰まりを解消する」ことを指示。業界に情報提供を呼びかけ、特定できた流通のボトルネックに、経産省が改善を働き掛けるようにしている。  愛知・岐阜・三重の3県は、工期延伸や資材価格高騰に対するスライド条項の適用について、「従来通り、適切に対応していく」構え。また、3月31日に総務省から、中東情勢を踏まえた「原材料費、エネルギーコスト等の取引価格を反映した適切な請負代金の設定や適性な工期の確保」についての要請が通達されており、これを県の各部署や、市町村に発出している。