【ナフサショックアンケート】専門工事業団体、骨材系団体・工場
静岡
4月下旬を過ぎ、建設関連団体では総会シーズンを迎えた。総会で団体長は、一様に足元の業界環境を「非常事態」と表現。中東情勢混乱によるナフサショック、石油由来建設資材の調達困難が大きく影響している。
建通新聞社では4月17日~23日にかけ、静岡県内の専門工事業団体、骨材系団体・工場に実態調査を実施。設問項目は①中東情勢の混乱による建設資材などの価格高騰について②影響を特に強く受けている建設資材③価格上昇以外に調達面での影響④元請け業者や発注者との契約面での課題⑤団体としての対応⑥行政に期待する対応⑦今後の見通しと課題⑧その他。
中東情勢による現在の資材価格高騰を受け、行政に対し「積算価格反映や物価単品スライド適用依頼を実施しているが、緊急事態に対する温度差が激しく、大きなタイムラグが予想される。その間で製造工場が背負う負担は計り知れないため、早急な対応をお願いしたい」「建設関連団体の要望などを各部局で聞き取り、それらを県全体でとりまとめ、国に要望するなどの取り組みを早急に図ってほしい」―などの回答があった。
①中東情勢の混乱によるナフサ価格高騰について
▽資材不足で今後の成り行きが不透明。納期も不明(設備団体)
▽原油価格の急激な高騰で合材の製造原価も高騰することは当然だが、販売価格に転嫁できなければ製造工場の負担は大きく、経営は成り立たなくなる。このままでは廃業も在りえるので不安(アスファルトプラント工場)
▽非常に高い危機感を持って受け止めている。中東情勢の混乱以前から、半導体不足やインフレなどの影響によってモノ不足や物価高騰が続き、厳しい経営環境にあったが、中東情勢が状況悪化に拍車をかけている(砕石団体)
②影響を特に強く受けている建設資材
▽塗料用シンナー不足が深刻。上部団体アンケートでは「通常通り入手できる」は2・7%だった(塗装団体)
▽塩化ビニール管などのパイプ、接着剤だが、今後さまざまな資材の不足を懸念(設備団体)
▽アスファルト類(ストレートアスファルト、改質アスファルト)は、メイン材料のストレートアスファルト、改質アスファルトが150%以上の値上がり幅(アスファルトプラント工場)
▽燃料類(軽油、A重油)は、加熱バーナー用のA重油の値上がり幅は政府補助金が入っても160%以上(同)。
▽その他(修理用のギアオイル、部品)は、今後の値上がり幅の予想がつかない(同)
▽さまざまな重機や大型ダンプトラックの燃料(軽油など)、プラントの動力(重油など)の価格高騰や供給抑制が、砕石工場の稼働率低下や生産量減少などを招いている(砕石団体)
③価格上昇以外に調達面での影響
▽メーカーの出荷停止に困惑している(設備団体)
▽購入先からの突然の供給制限(アスファルトプラント工場)
▽購入数量が少ないメーカーからは供給不可通知があり、再購入時期は不明(同)
▽納入不可の意味なのか見積書に価格が記入されていない(同)
▽週単位と月単位の購入予定(数量)の連絡が必要となり、購入日の指定、購入予定日の変更が困難。また、値上がり時期直前の購入は困難(同)
▽供給の制限(配達回数の減少や給油量の上限設定等)の影響で、プラントの稼働低下を強いられるケースも見られる。また、エンジンオイルやディーゼルエンジン用尿素(アドブルー)なども欠品や不足状態に陥り、日常のメンテナンスに支障が生じている事業者も見られる(砕石団体)
▽プラント稼働率低下で生産量減少とともに、急激な原料高騰等のコストアップに、製品価格の見直しなどの転嫁が間に合わず、収益悪化を招いている(同)
④元請け業者や発注者との契約面での課題
▽今後、工期延長の協議が必要になる(設備団体)
▽舗装業者からの見積もり依頼に苦慮(次月の売価判断が難しい)(アスファルトプラント工場)
▽製造が不可能になっても民法上の瑕疵(かし)担保責任は発生しない旨を伝える必要がある(同)
▽材料等の値上がり幅が大きく、得意先に値上げPRを実施しているが、得意先既受注や見積物件は売価転嫁が難しい状況(同)
▽運送経費が高騰しても契約価格見直しには時間がかかり、経営を圧迫している(砕石団体)
▽生コン製造時に必要な「混和剤」も供給不足になると懸念。生コンの生産量減少につながり、砕石事業者の経営にも影響を及ぼす恐れがある(同)
⑤団体としての対応
▽上部団体からの通知や情報は水平展開で周知(アスファルトプラント工場)
▽随時、会員企業に状況の聞き取りなどをしている(砕石団体)
▽関係団体と連携し要望活動を行いたい(同)
▽会員間で資材調達情報や経営上の工夫を共有し、孤立を防ぐ(塗装団体)
⑦今後の見通しと課題
▽あらゆるモノの価格が上昇し、インフレが続く。例えば、重機類(ダンプトラック、油圧シャベルなど)の価格は、近年、大きく値上げされている。採石場やプラントなど大規模な装置産業で、日常的な稼働費も大きく、公共事業等の予算縮小傾向が続くと、砕石の出荷量減少も続く(砕石団体)
⑧その他
▽全国的に建設機械の部品盗難が相次いでいる。採石場などの業務が終了した深夜に、場内の重機からモニターやコントローラーなど一部の電装部品だけを外して持ち出す盗難。県内でも25年末に県西部の採石場が被害にあい、3月には県東部、富士地域でも盗難事例が発生。被害は広範囲に多数発生している。部品を盗難された重機は動かせなくなり、部品調達や修理にも時間を要し、経営状況の悪化を招いている(砕石団体)
▽原材料搬入の燃料費高騰を受け、原材料費の値上げ要請がある(生コンクリート団体)
▽生コンクリート配送費のコストアップ(同)
▽オイル、グリス類などの油脂製品の値上げや搬入制限が出始めた(同)
▽工場内の免税経由の搬入制限や停止措置を受けた(同)
▽4月に続き5月も材料や燃料の値上がりによる合材売価の値上げをせざるを得ない。先行きが不透明な中で、工場経営の予想が立てられない状況が継続する(アスファルトプラント工場)
