縮小する公共投資(4)都道府県の投資的経費 予算増額も物価高吸収できず 

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 47都道府県の2026年度当初予算は、投資的経費の総額が7兆7387億円となり、5年前の22年度と比べ11・8%増加している。政府の公共事業関係費は同じ5年間で0・9%の増加にとどまり、都道府県予算が政府予算の伸び率を大きく上回っている。地方自治体が管理するインフラは老朽化が進み、更新需要が年々高まっている。一方、政府予算は横ばいで推移し、国庫補助や交付金の額も大きく変動していない。物価上昇に合わせて単独事業費を上積みせざるを得ない地方自治体が増えている。  過去5年の都道府県の投資的経費は、中国地方を除く全ての地方で増加している=グラフ参照。総務省は、「大規模事業によって投資的経費が増加している場合もあるため、それだけをもって物価上昇分が反映されていると判断するのは難しい」(自治財政局財政課)としているものの、決算ベースで見ても投資的経費は増加傾向にある。物価上昇分を反映する目的で、投資的経費を伸ばしている自治体も一部にある。  人口と企業が集中する東京都は、26年度の投資的経費に資材価格の上昇分として309億円を上乗せした。「入札の不調・不落で公共工事を止めるわけにはいかない。適正な積算で発注できるよう、予算を確保している」(財務局主計部財政課)として、税収の伸びを背景に、官公需の価格転嫁を進めている。  投資的経費が22年度比で29・8%上昇した大阪府も、工事費の上昇に伴う予算を確保した。吉村洋文府知事は、「工事に関する費用は全て上がっている。同じ事業をやるとしても、きっちりと予算を確保しないと、まちづくりやインフラが停滞しかねない」との認識を示す。  ただ、税収の伸びが弱い地方の自治体が、東京や大阪のように企業が集積する都市部の自治体と同じように対応できるわけではない。総務省は、物価上昇の反映を支援するため、26年度の地方財政計画の中で、道路や施設などを改修する単独事業費に3000億円確保。総務省は、「足元の物価上昇や近年の投資的経費の伸びを反映した。現場での対応を後押ししたい」(自治財政局財政課)と話す。  自治体にとって、地域生活を支える社会インフラの維持・更新事業は、老朽化対策や防災・減災の観点から先送りが難しい。予定価格に物価や労務費を適切に反映し、入札の不調・不落を防ぐため、投資的経費を拡充せざるを得ない状況となっている。  一方で、投資的経費の増額を上回るペースで、工事単価は上昇している。建設物価調査会によると、22年4月から26年3月にかけ、土木工事費指数は16・7%上昇。それに対し、都道府県予算の上昇率は11・8%で、予算の増加しても物価上昇を吸収しきれていない。  物価上昇は、自治体の事業量確保をさらに厳しいものとしている。福岡市の高島宗一郎市長は、予算案発表時の会見で、「建築費は今後さらに高くなる。チャレンジできるタイミングでチャレンジすることが重要だ」と話し、建設コストが上昇している中でも将来を見据えて事業を着実に推進する考えを示した。3月以降の中東情勢の緊迫化を背景に、資材価格は今後も上昇基調が続くとの見方が強い。自治体には、限られた財源の中で物価や労務費の上昇を適切に反映し、必要な社会インフラを維持する、難しい対応が求められている。