塗料メーカーは生産・出荷量増 〈連載〉中東情勢と建設資材
東京
中東情勢の悪化を受けて、塗装業界などから建築用塗料製品が手に入らないとの声が上がっている。ただ、3月の溶剤系・水系合成樹脂塗料の生産量と出荷量はいずれも前年同月より増えていた。塗料メーカーは原材料の調達に苦慮しながらも、前年と同水準の生産・出荷を目指しているという。
塗料メーカーなどで構成する日本塗料工業会(日塗工)が経済産業省統計の速報を基に集計したところ、3月の溶剤系・水系合成樹脂塗料の生産量は前年同月比3・8%増の7万5133㌧、出荷量は同6%増の7万6034㌧といずれも増加した。2月との比較では生産量が12・2%増、出荷量も同20・1%増と大幅に伸びた。
日塗工の児島與志夫専務理事は「塗料メーカーは原材料が不足していた中でも生産・出荷をしっかり継続していた」と分析する。
日塗工は会員アンケートに基づいて、25年度の需要が前年度比96・1%の117万4000㌧にとどまると見込んでいた。事実、25年4月~26年2月の月別出荷量は平均して前年同月の95%程度と予想と合致していただけに、3月の生産量と出荷量の増加は異例だ。
生産ラインは通常、需要見込みに応じて設定するため急な増産は難しい。児島氏は、日塗工の複数の理事が直近の理事会で通常の120%以上を出荷していると発言していたことから「生産ラインはフル稼働している」とみている。
また、溶剤のシンナーに関する3月の生産量と出荷量は、5月中旬に公表される経産省統計の確報で明らかになる。児島氏は溶剤系・水系合成樹脂塗料と同じく「前年同月から増えている可能性が高い」と予想する。
それでも、塗装業者をはじめとする建設業からは「製品がない」、商社からは「発注しても十分な製品が納入されない」との声が絶えない。サプライチェーンが塗料メーカーの手を離れた後のどこかで目詰まりしている可能性もありそうだ。
■原材料調達、6月は「未定」
一方、建築用塗料の原材料調達を巡っては不安定な状況が続いている。主な原材料は樹脂と顔料、添加剤、溶剤の四つで、多くがナフサ由来の石油化学製品。中東情勢は2月末のホルムズ海峡の閉鎖直後と比べれば好転しているとはいえ、依然として満足な量が入ってこないという。
児島氏によると、原材料を扱う商社などは5月の納入について「最多で前年同月と同量」と塗料メーカーに通知しているものの、「多くて前年同月の7割程度、少なければ5割未満の場合もある」と指摘する。
さらに、6月の原材料調達に対する商社などの回答は現時点で「未定」。塗料メーカーは前年同月と同等量を出荷できるよう、価格が高くても普段と別の調達先から確保するなど苦慮しているという。「現状は溶剤の調達が最も難しいが、ホルムズ海峡の閉鎖が長期化すれば樹脂などにも波及しかねない」(児島氏)。
仮にホルムズ海峡の閉鎖が直ちに解除されても、待機しているタンカーが日本に着港するまで3カ月程度かかる。このため児島氏は、原材料調達の先行きを「夏ごろまでは現状のままではないだろうか」と見通した。
