残業規制適用から1年

 建設業に時間外労働の上限規制が適用され、あす4月1日で1年がたつ。働き方改革関連法の施行から規制適用までの5年間、建設業界は長時間労働の是正に取り組んできた。この1年で現場の働き方はどのように変わったのだろうか。
 「大きな混乱は生じていない」。日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は、3月24日に開いた会見でこの1年をこう振り返った。日建連だけでなく、全国建設業協会(全建)の調査結果を見ても、規制によって、建設業の労働時間が減少していることが分かる。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2024年平均の建設業の所定外労働時間は7・4%減となり、働き方改革関連法が施行された19年4月以降で最も減少幅が大きくなった。長時間労働が前提の商慣習を見直そうと、各社が取り組んだ成果は確実に出ている。その一方で、規制適用からの1年で労働時間の削減だけで解決できない課題も見え始めている。
 気候変動の影響によって、現場の熱中症による労働災害の発生リスクが高まっている。全建の今井雅則会長は、25日に開かれた自民党の会合で、「屋外作業の多い建設業では、一律の労働時間規制への対応が難しい」と指摘した。気温が上昇する日中に待機時間を設けると、夜間の時間外労働が発生するためだ。今井会長は、こうした特性を考慮した柔軟な労働規制の適用を求めている。
 公共工事の発注者の対応にも問題がある。入札契約適正化法の実施状況調査で、週休2日工事を実施していない市区町村(政令市除く)が44・8%あることが分かった。時間外労働の上限規制適用後の昨年7月時点の調査結果であるにも関わらず、4割以上の市区町村が週休2日工事を実施していない。
 こうした市区町村の工事で時間外労働の上限を超えた場合、法令違反の罰則を受けるのは受注者である建設業だ。公共工事の発注者が率先して現場の週休2日に取り組まなければ、対応の遅れている民間工事にまで週休2日を広げることは極めて難しい。
 建設業が目指す働き方改革の目的は、他産業に劣らない労働環境を整え、この産業に担い手を呼び込むことにある。上限規制適用後、他産業との労働時間の差が縮まったとは言え、建設業の労働時間が全産業で2番目に長いままだ。
 課題は現場や地域によっても異なる。規制適用から1年がたつことを契機として、関係者がこの1年で見えた課題を受け止め、新しい働き方を考えてほしい。